初めまして、株式会社ゲットイットの堀川です。
私が所属しているCSRプロジェクトでは、現地NGO法人と協力しバングラデシュ国内での活動を支援しています。
今回は8月中ごろに訪れた東京ジャーミイについて寄稿します。
2024年7月より1ヶ月ほど、バングラデシュではクオータ制度(*)への反対運動に端を発した抗議活動があり、現地NGO法人とのやり取りが難しい日が続いていました。同年8月には大規模な水害も発生し、NGO法人でも緊急で支援活動をスタートさせました。
(*)クオータ制度
1971年のバングラデシュ独立戦争を戦った解放戦士(フリーダムファイター)の親族に、公務員採用において特別優遇枠を割り当てる制度のこと。
弊社CSRチームでも、水害への支援という喫緊の課題とともに、バングラデシュについての理解を深めていきたいと考えていたところ、チームのバングラデシュ人メンバーから都内にあるモスクへ訪問してみるのはどうだろう?というお誘いをいただきました。
多くの日本人からするとあまりなじみのない国の一つであるバングラデシュ。
私もCSR活動を始めるまでは国旗が似ているくらいしかイメージがありませんでした。
その実態は日本の半分ほどの国土ながら人口は約1.7億人、なんと平均年齢は27.6歳!現在の日本とは真逆の、若者がマジョリティという人口ピラミッドを持つ国なのです。
また人口の90%がイスラム教徒(ムスリム)というのも大きな特徴の1つです。
バングラデシュを知るうえで、イスラーム文化を知ることはきっとこの先役に立つ。
そう思い、モスクへの訪問を決意しいざ伺うことに。
当日降り立ったのは私の自宅からもほど近い代々木上原駅。
閑静な住宅街の中に異文化への玄関口があったなんて、とても驚きました。
事前に調べたところ、さらに代々木上原にはJICAの研修センターもあり、食堂も一般開放しているとのことなのでモスク訪問前に腹ごしらえをしてきました。
館内はJICAの職員の方をはじめ、研修で訪れているであろう様々な国籍の人たちが卓を囲んでいました。
食堂のメニューはすべてハラール認証済みとのことなので、ムスリムの方でも安心して食事ができるようになっていました。
私たちは仲良くキーマカレーセットを注文。野菜、スープ、ジュースがついて650円と大変リーズナブルで、とてもおいしかったです。
JICAの中には各国の衣装や日本の紹介など様々な展示がされていました。
JICAでの食事後、施設から10分ほど歩いてたどり着いたのは本日の目的地であるモスク「東京ジャーミイ」になります。
住宅街を抜けて井の頭通りに面したこちらの建物は、さながら砂漠の中のオアシスのような、なんとも素敵な外観をしていました。
後光がさしていたので建物の前で記念撮影
中に入ると、どこからともなく異国の香りが漂っていました。
※あとで聞いてみると、沈香「ウード(OUD)」の香りとのことでした
入り口には多くのイントロ冊子があり、主な冊子を持ち帰りました。
※現在仕事終わりに少しずつ読み進めています。
バングラメンバーは一足先に2階へお祈りに、私は館内で催されている案内ツアーに参加しました。
案内では日本人のガイドの方から、イスラーム文化や文明に関しての様々なお話を伺いました。
・チューリップの歴史:チューリップといえばオランダが思い浮かぶが実は…
・アラビア数字の発明:0~9までの数字はなぜあの形なのか?
・なぜイスラームでは豚食を禁止しているのかの考察
・地球の気候変動とイスラーム圏の国の栄枯盛衰
などなど。
お話も終わり、いよいよ本丸である2階のドームの中へ。
案内された先に広がっていたのは、エキゾチックな美しさを感じる荘厳な光景でした。
こちらでは通常の礼拝に加えて、ジャナーザと呼ばれる死者への礼拝も見学させていただきました。
私は後ろから2人がお祈りしている姿を見ていましたが、普段目にする仕事中とはまた違った厳粛な雰囲気を肌で感じることができました。また2人を含めお祈りをしている多くのムスリムの方々の敬虔な姿勢から、彼ら彼女らの生活の中でイスラームの教えが重要な役割をはたしていることを実感しました。
お祈りが一通り終了した後は指導者の方(イマーム)を交えて質疑応答の時間。
私たちが訪れた日はほかに30人程の参加者がいたのですが、私含め皆熱心に質問をされていました。当日のお祈りの内容からイマームの方の経歴、はたまたラマダンについてなど。
参加者の質問からは、私のように日本に住んでいるとなじみのないイスラームについて知りたい、理解したいといった気持ちが感じられました。
ここで案内ツアーは終了となり、ドームの中で写真撮影の時間が設けられました。
お祈り中は厳粛なムードの中撮影はNGだったのですが、ここからは撮影OKとのことなので和やかなムードの中、私たちも何枚かきれいな内装の写真や、ガイドの方との写真を撮りました。
その後はモスクに併設されているショップにてお土産や食材を購入しました。
こちらはハラール認証が下りている食材が多く、ムスリムの方が安心して購入できる品揃えでした。私とメンバーはこちらの冷凍鶏肉を購入。帰宅後早速調理してみたのですがケバブサンドのチキンのテイストでとてもおいしかったです!
隣のスイーツはバクラヴァというトルコの伝統菓子です。シロップが効いててとても甘い!
家族や会社へのお土産を購入後、店内で入れたトルコ茶を飲みながらしばし談笑。
メンバーの2人も私がモスク訪問で感じたことを聞き、心なしか少し安堵の表情をしているのが印象的でした。
今回の訪問を経て、私自身、日本で生活しているとどうしても偏ったイメージでとらえがちになってしまうイスラームについて、実際に訪問し雰囲気を感じ、お話や考えを聞き、お祈りを拝見し、いただいた冊子を読むことで、ある種の対話ができ、理解を深めることができたように感じました。
似ている面もあれば異なる面も持ち合わせているメンバーや現地の方々の考え方や価値観をリスペクトし、継続した対話を行いながら、これからもCSR活動にも仕事にもに取り組んでいきたい。
そう改めて思うことのできた今回の訪問となりました。
参考:
日本貿易振興機構 「外出禁止令が緩和、現地日系企業も操業再開へ」
日本貿易振興機構 「住友商事に聞く、経済特区開発の今(バングラデシュ)」
バングラデシュメンバーより
Tanzidさん
東京ジャーミイの訪問を通じて、私の同僚がイスラーム文化に対する理解を深めようとする姿勢に、とても嬉しく思いました。
モスクの内部やお祈りの儀式を実際に体験し、イスラームの実態を直接感じることで、私たちの文化への理解が深まったと感じています。このような体験を通じて、イスラームの教えや生活様式がどれほど重要で深いものであるかを知ってもらえたことは、私たちのCSR活動にも良い影響を与えると信じています。
文化や宗教に対する理解と尊重が、より良い対話と協力の基盤を築くと考えており、今後もこうした取り組みが続くことを願っています。
Nazmulさん
この訪問は単なる見学ではなく、私の文化と、現在働いている国とのつながりを感じる瞬間でした。
ゲットイットに入社する前は、バングラデシュでJICAのITエンジニア研修を受け、日本語を学びました。代々木上原にあるJICAの研修センターを訪れたことで、その研修生時代の思い出がよみがえり、JICAが文化の架け橋として重要な役割を果たしていることを再認識しました。
週末に東京のモスクを訪れることで、バングラデシュ人や他の外国人とつながる機会を得ています。これらの出会いは、単なる礼拝の場を超えて、共通の遺産を分かち合い、互いに支え合うコミュニティとしての役割を果たしており、海外で生活する中での心の支えとなっています。
イスラム教が日常生活において重要な役割を果たしているバングラデシュ出身の私にとって、日本の同僚とその一端を共有できたことは非常に意義深いものでした。東京ジャーミイは、その美しい建築と静かな雰囲気の中で、私の同僚が故郷での一般的な光景の一部を体験する場となりました。
この訪問で特に印象に残ったのは、同僚がイスラム文化を理解しようとする真摯な関心と好奇心を示していたことです。ガイドによる詳細な説明から礼拝の観察まで、皆が学びたいという意欲と、馴染みのない文化に対する積極的な姿勢を持っていることが明らかでした。
特に感動したのは、礼拝後に同僚が感想を共有してくれたことです。同僚が我々の伝統に対して示したオープンマインドと尊敬の念を目の当たりにし、文化交流と相互理解がチーム内だけでなく、CSR活動全般においても重要であることを改めて感じました。
このような体験を提供する機会を得られたことに感謝し、今後も相互尊重と理解を深めながら、共に働けることを楽しみにしています。