2023年05月29日
IT機器はどのように再生されるのか?リサイクル施設見学レポート

IT機器はどのように再生されるのか?リサイクル施設見学レポート

 

「グリーンIT製品」。ゲットイットでは、当社の買取りサービスや販売サービスを通じて二次流通するIT製品のことを、このように呼んでいます。「製品」という価値の高い状態で長く使用することが、環境負荷の低減につながると考えています。

しかし、グリーンIT製品にも当然ながらその役目を終える時がやってきます。製品としての役目を終えた時、グリーンIT製品はどこに行き、どのようにリサイクルされるのでしょうか。

このブログは、当社がリサイクル事業を委託している施設の見学レポートです。グリーンIT製品がどのように生まれ変わるのか、その一端をご紹介します。

 


 

リサイクル施設見学レポート

株式会社ゲットイット
K.H

 

私は機器の技術担当をしており、仕事上で再資源化(以下マテリアル※)に関わる部分はごくわずかです。破損などで利用できないと判断した機器等を会社のマテリアル置き場に置くだけなので、その後はどこかの業者がそれらを回収し処理をしているんだろうという認識でした。
循環型社会への移行を掲げている組織(=ゲットイット)に属している以上、具体的にマテリアルとして出たアイテムがどのような後工程を辿るのかを把握したく、今回の見学ツアーに参加しました。

行く前に私が感じていた事

  • マテリアル・リサイクルと普段聞いたり言ったりしていたものの、それらがどのように処理されていくのかを知らなかった。
    • 機器をマテリアルに出す時、中のパーツもそのまま含まれている状態だが、それらはどこで分別されるのだろうか。
  • 再生資源はコストが掛かるので、再生処理をしたところで再利用されているのかも懐疑的である。

最初は作業場へ伺い、ご責任者の荘さんより構内でどのような工程を行っているかの案内をしていただきました。行われている作業に関して詳しく解説していただき、ご自身の携わっている事業の細部まで把握されていることが伝わりました。「再利用資源の方がコストは掛かるが、世界の大企業は既に再利用品を用いた製品を作ることを求められている。当社と協力企業から出る資源は全世界で活用される」のだそうです。

辺りを見てみると仕事上よく目にする物(ネットワーク機器やサーバーラックなど)が沢山並んでいました。
これらは恐らくゲットイットから来た物なのでしょう。この場所で改めて素材別に分別されるようです。

 

「このまま(電源系のパーツが付いている状態)では鉄を扱う業者は嫌がります」と荘さん。素材毎に扱う業者は変わるので、適切に分別をしなければなりません。

分別は細かい部分にまで及ぶので手作業となります(いっぺんに砕いて磁石か何かで分別・・ではありません)。例えば、1つの機器から基板・バッテリー・ハードディスク…etcへと分けられるのです。また、基板は種類(A基板・B基板)によって更に分別をしているとの事。どんな物質が使用されているか(この基板に関しては銅が使われているか)も重要となり、価値や処理が変わってきます。

 

細部まで分解された後は素材ごとに一塊に保管されていました。

鉄は大量で山になっていました。
数百トンもの鉄が収集されており、その量は弊社倉庫の1フロア分を埋めつくす程あったと思われます。

 

HDDに関しては「ゲットイットからは物理・磁気破壊処理をした上で入ってくるのでデータの流出などリスクが無く回収・処理できて安心です」との事。

 

リユース価値の高いICチップはパーツとして切り出し、リユース品として販売しているそうです。

 

ここまでを振り返ると、素材ごとの細かい分別を行い利用価値の高いものを抜き出すことで、環境負荷の低減と高いコストパフォーマンスを実現していることがわかりました。

 

 

午後からはパチンコ台の資源再利用工程を見学しに行きました。

パチンコ台の前面パネルが山のように積まれ、重機によって砕かれています。すぐ横にいる人と会話ができない程のとてつもない轟音が響いていたため、都市部で行うのは難しいと感じました。

 

更に細かく裁断し、プラスチックと金属に分けられていました。別のフロアでは他の電子部品や液晶パーツを分別をする様子も見学しました。


 

最後に細かく砕かれたプラスチックを洗浄する施設を見学させていただきました。別のフロアでは他の電子部品や液晶パーツを分別をする様子も見学しました。
プラスチックの汚れを落とす為、水で洗浄します。見てみるとそのままの状態ではかなり泥が付着しているようです。洗浄を終えたプラスチック(上の画像右)は綺麗になった為か、前の工場で見た物よりも発色がよく見えました。

 

 

この1日で感じた事

 

見学を通じて、再生できる資源は全て再生し活用しようと努力されていることがわかりました。しかしそのためには、排出する側がゴミとしてではなく資源として扱い、適切に分別をすることが不可欠です。資源の再利用は処理に多くの工数がかかるため、誤った分別をして出してしまうと循環型社会へブレーキをかけてしまう事になると感じました。

最後に、自分の手放したものが見えないところで再び地球・社会・人の為に活用されるのだという意識を忘れないようにしたいと感じました。

 


 

「IT機器は、売却後どのように処理されるのだろうか?」
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。大切な資産・資源であるからこそ、買取りのプロセスについてお客さま自身で確認しご納得いただきたく、当社では倉庫見学会をはじめITADプロセスの透明化の取り組みを推進しております。今回のレポートもそのような観点からお届けいたしました。

株式会社ゲットイットは、サーバーやネットワーク機器の買取りを通じて、循環型経済をサポートし、サステナブルコンピューティング®の実現を目指しています。

サステナブルコンピューティングについて詳しくはこちらをご覧ください。

 

※マテリアル:リサイクルされるIT機器は、ゴミではなく有価で引き取られるため資源であることから、当社では「マテリアル」と呼ばれています。

 

 

グリーンIT編集部
グリーンIT編集部
リユースIT業界の最新情報を発信する「グリーンITブログ」を掲載。
世界のことから社内のことまで、リユースIT製品(グリーンIT製品)を使う選択がもっと当たり前な社会にするため、情報を発信しています。