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COLUMN

「保守コストの削減」は保守レベルの正しい選択がポイント!最適な保守の選び方を紹介

「保守コストの削減」は保守レベルの正しい選択がポイント!最適な保守の選び方を紹介

“漠然とした安心感”に多額のコストを支払う日本企業

日本企業の多くは“保守サービスはベンダーに任せておけば安心、安全”という、漠然とした付加価値に多くのコストをかけています。これは、とりわけ日本の大企業に強く見られる傾向です。

では、具体的にベンダー保守にはどのようなメリットがあり、ベンダー保守を継続しないとどのようなリスクがあるのでしょうか。これらを、正しく把握している管理者は意外と少ないのではないでしょうか。

導入直後からの3年間は、ベンダー保守がベストな選択肢です。製品やベンダーによって差はあるものの、ほとんどのケースで導入後3年間はベンダーの製品保証(ワランティ)が付帯しています。

また製品のリリース直後は、ベンダーから提供されるファームウェアなどの技術的な更新のリリースも多くあります。ユーザー側も、機器の構成変更が比較的多い時期ですので、導入直後はベンダー保守が最適な選択肢であることは間違いありません。

EOSLに近づくほど保守の選択肢は広がる

しかし、3年目を過ぎると、その選択肢は一変します。特にEOSLを迎える1~2年前になると“最適な保守の選択肢”は大きく異なります。

EOSL間近になると初期不良パーツの排除が進み、既知の障害事例をもとに安定稼働のノウハウがユーザー企業に集約されていきます。更には、導入直後から各種ファームウェアの適用を繰り返し実施してきたことで、システムはより安定していきます。

ユーザー企業にとって、「今後システムの変更はない」「構成変更の予定はない」とするシステムに支払う保守費用こそ、コスト削減の最有力候補ではないでしょうか。

多くの企業は、安定したシステムに多額なコストを掛けている“保守費用”を今こそ見直すべきなのです。

(図1)導入時期別のベンダー保守サービス事情

時代と共に変わる保守要件。進まない保守コストの適正管理

導入システムにおける保守の考え方は、時代と共に変化してきました。その1つの例が「N+1設計」から「N×α設計」への変化です。

遡ること2000年代前半、当時はハードウェアの調達コストが非常に高額でした。システムの動作に必要な数に加え「1台余分に用意しておく『N+1設計』」に掛かるコストは、現在の約10倍以上を要していました。その後、IAサーバが主流となって調達コストが大幅に下がり、ハードウェアのスケールアウト(※)設計(N×α設計)が一般的になっていきます。

その結果、保守費用に多くの投資を行うより、あらかじめ数台の障害を見込んで要件定義する方が、トータルコストを安価に収められる時代になったのです。

このように、スケールアウト設計(N×α設計)の採用が進むことで“機器単体の保守要件”は下がっています。しかし導入機器の保守要件に合わせて、保守コストを適正に管理している企業や事例は非常に少ないのが現状です。

※この場合のスケールアウトとは、求められる処理能力をNとした場合、3~α倍の冗長構成でサーバー台数を構成することを指します。

“ベンダー保守のメリット”と“ベンダー保守を選んだ方が良いケース”は?

ここで、「ベンダー保守のメリット」と「ベンダー保守を採用した方が良いケース」を見ていきましょう。まず、ベンダー保守に加入するメリットは以下です。

  1. ベンダーの製品開発チームへのエスカレーションパス
  2. ベンダーからサービスパッチの提供
  3. ファームウェア更新等による新規障害のベンダー対応

ベンダー保守の恩恵を受けるべきシステムとして、「商用で利用される本番システム」「常に最新のセキュリティレベルや技術更新の適用が必要なシステム」「高い可用性が要求されるシステム」が挙げられます。
これらのシステムは、ベンダー保守の採用・継続が望ましいと言えます。

“(図2)ベンダー保守を選ぶのに適したシステム

“ベンダー保守を選ばなくても良いケース“は? おすすめできないスポット保守への切り替え

一方で上記に当てはまらないシステムや、EOSL後も十分使えるシステムを延命利用したい場合、ベンダー保守が最適な選択肢ではないと言えるでしょう。このようなケースの場合、ベンダー保守以外を選択することで、保守コストやシステム更改に対する投資を大きく削減できる可能性があります。

例えばシステム導入後3年が経過し、製造上の不具合のあるパーツが排除され、サービスパッチやファームウェア適用も適時実施し、安定期を迎えたとします。今後、構成変更の予定がないことを想定した場合、必要な保守は“物理的な障害対応”が中心となります。

この時に、ベンダー保守の必要性を改めて考えてみましょう。既知障害の対策が既に完了しているシステムに対して、以下のサポートは必要でしょうか。

ベンダーにしか行えないハードウェア、ソフトウェアサポートの例

新たなバグを警戒する必要もなくなれば、プロアクティブサービスや新規ファームウェアの提供も必要ないでしょう。また、新たな機能追加や構成追加・変更がなければ、ソフトウェアサポートも削減対象になります。

Root Cause Analysisは、発生した問題や事象を解析して、その根本原因を突き止める解析手法です。同じ問題や事象が起きないように、その場限りの対処方法ではなく、根本的な対処方法を見つけ出すことが目的です。これはメインフレーム時代の古い習慣の名残で、本情報を知り得ても、ユーザーが具体的な対策を取れる訳ではないのが現実です。以上のことから、状況によって必ずしもベンダー保守が必要ではないことが分かります。↗︎

また、おすすめできないのは、障害がほとんどないシステムの保守契約を解約し、スポット保守(パーコール保守)対応を選択することです。理由として、多くのベンダーは“保守契約ユーザー向け”に、エンジニアや保守パーツなどの資源が計画的に配備されています。スポット保守ユーザーには、ベストエフォートで対応スケジュールが組まれるため、場合によっては“連絡から2日後、3日後の保守対応”となることも珍しくありません。緊急を要する保守対応をスポット保守で賄うことは、非常にリスクがあるのです。

“スポット保守(パーコール保守)”をおすすめできない理由

“第三者保守”という選択肢。第三者保守の最適な選び方

保守要件で必須となるのは、保守パーツの供給体制と突発的な障害に対し、管理者が想定したダウンタイム内に確実に保守サービスが受けられる体制の維持です。

従来ベンダーが行っていた作業とユーザーの運用体制のギャップを埋め、システムの要件ごとに最適な保守レベルを見極めることができれば、“第三者保守”が有力な選択肢になります。

“第三者保守”を選択すべきシステムと加入タイミングは、以下の図3を参考にしてください。

ユーザーは第三者保守を選択的に採用し、IT資産の寿命を効率良く延長することで、IT基盤の更改時期を制御して“コストの最適化”が図れるはずです。

(図3)“第三者保守”を選択すべき対象システムと加入タイミング
※「N+1」:動作に必要な数に加え、1台余分に用意しておくこと
※「N×αスケールアウト」:サーバー台数を増やし、処理を分担させること

海外で進む“第三者保守”の活用。保守コストを最適化する第三者保守を活用しよう

近年、日本で第三者保守を利用する企業が増えていますが、欧米では20年以上前から第三者保守が活用されています。両者の差は、日本の企業特有の“保守的な思考”や、冒頭に述べた“漠然とした安心感”が一つの要因と言えます。

ベンダーの保守切れ以降もベンダーの代わりに保守を担う“第三者保守”は、古いシステムを延命することで定期的なリプレースから解放されるだけでなく、保守費用がベンダーより安価に設定されることが多くあります。保守サポート切れで利用し続ける運用リスクや、新しい機器への移行に伴う“移行コスト”や“スケジュール”などの課題を解決する手段として、海外では広く利用されています。

今、日本企業が置かれている海外企業との競争を勝ち抜くためには、既存システムの運用コストを見直し、“自社のITコスト最適化”を図ることが急務です。システムの延命によって削減できたコストをより戦略的なIT投資へ振り分けて、企業の競争力を強化することが必要なのです。

 

 




 

 

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