2022年10月に持株会社体制へ移行し、新たなスタートを切ったしずおかフィナンシャルグループ。その中核を担う静岡銀行は静岡県内を中心に207の営業拠点を持ち、約10兆円の貸出金と約12兆円の預金を誇る地域金融グループです。また、同社ではグループの「クラウドファースト」方針のもと、グループが保有する200以上のシステムをAWSへのクラウドリフトを進めており、2027年頃にはAWS上で勘定系を稼働させる予定など、デジタル化の推進に積極的に取り組んでいます。
その戦略的なシステム投資を支えているのが、第三者保守サービスの活用です。静岡銀行 経営企画部IT企画グループ課長の良邊信博さまに、第三者保守導入の経緯や効果についてお話を伺いました。
●保守対象機器
– サーバー機器
– ストレージ機器
– ネットワーク機器
– 共有ディスク装置
23社の力を結集し、地域金融グループの未来を創るIT戦略
ーーまず、静岡銀行さまの事業内容とIT企画グループの役割について教えてください。
良邊さま 私が所属する静岡銀行は、2022年10月に設立されたしずおかフィナンシャルグループの中核を担う銀行です。静岡県内を中心に207の営業拠点を有し、約10兆円の貸出金と約12兆円の預金を誇る顧客基盤を持つことが特長です。23社から成るグループ各社が連携を強化し、新規事業への挑戦や異業種との協業を通じてソリューションの幅を広げています。
IT企画グループは、静岡銀行の「IT戦略の策定」や「システム開発・運用の高度化」「システム関連投資の統括」などを担当しています。システム化の検討は、グループ各社や本部各部がIT企画グループと連携して行い、静銀ITソリューションが開発・支援を行う「三位一体の体制」を取っています。この体制により、ITの活用、統括、提供を一体とした体制でシステム化を推進しています。
「システムの長期運用」を実現した第三者保守を知ったきっかけ
ーー第三者保守サービスを知ったきっかけについて教えて頂けますか。
良邊さま 第三者保守との出会いは10年以上前に遡ります。当時、システム間のデータ連携で使用していた共有ディスクの保守期限が迫っていました。連携先のシステムが更改途中だったため保守延長を試みたのですが、ベンダーからはすでに保守延長済みを理由に困難と言われ、製造元との直接交渉でもわずか1ヶ月の延長しか認められませんでした。
そんな時、偶然届いた第三者保守のDMがきっかけで、第三者保守ベンダーと打ち合わせを行ったところ、「1年以上の保守が可能」という回答を得られました。その機器は他社でも現役で使用されており、保守部品も豊富にあるとのことでした。この経験が、第三者保守の可能性に気づくきっかけとなりました。

信頼できる第三者保守のパートナーとしてゲットイットを選択
ーー第三者保守のパートナーとして、ゲットイットを選んだ理由について教えて頂けますか。
良邊さま ゲットイットさんとの取引は2019年から始まりました。当時、当行では「基盤の共通化」という大型プロジェクトを進めており、その過程で静銀ITソリューション及びメーカーを通じてゲットイットさんのサービスを知ることになりました。
第三者保守サービス選定の際に、まず重視したのが「提供されるサービスの品質」と「信頼性の高さ」です。選定にあたり様々な調査を行いましたが、ゲットイットさんのサービス品質や信頼性が高いという声は、市場評価でもよく見かけました。また、技術的な専門知識が豊富で、迅速かつ効果的なサポートを提供しているという点も、ゲットイットさんを選定した理由の一つです。
特に魅力的だったのが、「保守期間を1ヶ月単位で設定できる」という柔軟な対応力です。これは私たちのビジネスニーズや予算に合わせやすく、大きなメリットとなっています。
ーー第三者保守の導入にあたり、当初は不安もあったのではないでしょうか。
良邊さま 確かに、最初は「故障した時に本当に直せるのだろうか」という不安がありました。これまでベンダーが行っていた保守作業を第三者が行うことになるわけですから、「実際の障害時に本当に復旧できるのか?」という点が最大の懸念でした。
そこで私たちは、開発系のシステム1台から試験的に始めることにしました。静銀ITソリューションを通じて第三者保守サービスを利用し、実績を確認しながら徐々に範囲を広げていきました。第三者保守の導入を検討する場合は、このように小規模な範囲から始めることが望ましいと考えています。
ーー現在の第三者保守の活用状況について教えてください。
良邊さま 当行では以前から「システム基盤の共通化」を進めており、個別のシステムが乱立する状態を避け、管理がしやすい環境を整えてきました。この中で、第三者保守を広く活用しています。第三者保守の導入に際しては、その都度「対応可能な範囲」と「役割分担」を明確にすることを重視しています。
保守体制では、「基盤構築ベンダー/メーカーのノウハウ」と「ゲットイットのハード保守」を組み合わせ、サーバーやディスク類の不具合に幅広く対応しています。さらに通信機器にも対応範囲を広げ、「ハードウェアの部品交換はゲットイット」「設定情報の復旧は構築ベンダー/メーカー」という役割分担により、特殊なケースにも対応できる体制を整えました。

「スポット保守」でコスト効率の高い保守体制を実現
ーー開発系システムでは、どのような形態で第三者保守を活用されていますか。
良邊さま 当行ではコスト削減の観点から、開発系システムの保守は定例保守ではなく「スポット保守」で運用しています。スポット保守とは定期的な保守費用は発生せず、故障時の対応のみを契約する形態です。
メーカーのスポット保守の場合、対応可能期間が通常の保守期間より限定されるケースがあります。しかし、ゲットイットさんではこうした制約なく対応して頂けるため、開発系システムの効率的な運用が可能になっています。
実際に自社システムの開発系が故障した際、ゲットイットさんに相談したところ、すぐに部品が見つかり、プロジェクトの遅延を防ぐことができました。このような柔軟な対応力は、自社の戦略実現に向けた開発における大きな安心材料となっています。
ーー第三者保守の導入によって、得られた効果についてお聞かせください。
良邊さま 最も大きな効果は「サポートの継続性」です。メーカーのサポート終了後も第三者保守で長期的なサポートを確保することができ、システムの更新や交換を自社の戦略に沿って計画的に行えるようになりました。
特に効果を実感したのが、お客さまの取引履歴を照会するシステムの更改時です。「新旧システムを2ヶ月間並行稼働させて品質を確保したい」というニーズがありました。このような時に、ゲットイットさんなら1ヶ月単位での保守契約が可能で、必要な期間だけの保守を実現できました。
また、「コストの最適化」も重要な効果です。ゲットイットの第三者保守ではEOSL後も現状のコストを維持できています。
クラウドファースト戦略と環境への配慮―データセンターレス化への挑戦
ーークラウドファースト戦略における、第三者保守の位置付けについて教えてください。
良邊さま 当行では「クラウドファースト」の方針を掲げており、システムの導入や更改の際にはパブリッククラウドの活用を積極的に検討しています。2027年頃にはAWSへの移行・稼働を決定しており、将来的にはデータセンターレスを目指しています。
データセンターレス化の目的の一つは、消費電力の削減を通じた地域社会の脱炭素化への貢献です。現在のデータセンターにはサーバーだけでなく、「大規模な無停電装置」や「自家発電設備」なども設置されており、これらの更新には多額のコストがかかります。クラウド化によってこれらの設備を段階的に縮小し、環境負荷の低減とコスト削減の両立を目指しています。
このクラウドリフトを計画的に進めるためには、システムの更新や交換のタイミングを「自社のビジネスサイクル」に合わせて計画することが不可欠です。メーカー保守ではこのような柔軟な対応が難しいため、第三者保守の活用が重要な役割を果たしています。

今後の展望:クラウド化時代の「戦略的システム運用」と「環境負荷低減」の取り組み
ーー最後に、今後の展望やゲットイットに対する期待についてお聞かせください。
良邊さま 引き続き「クラウドファースト戦略」を計画的に進めていく中で、保守期限に柔軟に対応できる第三者保守を活用していきたいと考えています。また、環境への配慮の観点から、システムの廃止時にはゲットイットさんの買取りサービスの利用も検討しています。
将来的な要望としては、ハードウェアだけでなく「OSやミドルウェアを含めた一体的な保守サービスの提供」に期待しています。例えば5年が経過したシステムは、ハードウェアの保守だけでなく、OS・ミドルウェアの保守も含めて第三者保守に切り替えられるようになれば、さらに効率的かつ柔軟なシステム運用が可能になると考えています。
ーー本日は貴重なお話をありがとうございました。

静岡銀行さまの事例は、第三者保守がシステム投資の戦略性を高める重要なツールとなることを示しています。特に金融機関におけるデジタルトランスフォーメーションが加速する中、システムの更新時期を柔軟にコントロールできる第三者保守の価値は、ますます高まっていくでしょう。
同時に、この事例は第三者保守の活用が単なるコスト削減だけでなく、「クラウド戦略の実現」や「環境負荷の低減」にも貢献できることを示しています。ゲットイットは金融機関に限らず、戦略的なシステム投資を目指すあらゆる企業の課題解決をサポートいたします。
システムの延命やコスト最適化にお悩みの企業さまは、ぜひゲットイットにご相談ください。