中日新聞社さまは日本を代表する報道機関として、1886年の創業以来、中部地方を中心に長きにわたり地域に根ざした報道行っています。同社は、広告システムと紙面出力システムの保守期限切れの課題解決に、第三者保守を採用しました。第三者保守の活用により、システムの全体最適化を図るための貴重な時間を確保し、広告システムと他のシステムの機能集約を進めることが可能になりました。
本案件の導入窓口を務める技術局システム部の長野さまと村田さまに、第三者保守導入の経緯や効果についてお話を伺いました。
保守対象機器
- Fujitsu SPARC M10-1
- Fujitsu ETERNUS DX80 S2
新聞制作の要となるシステム部門。24時間体制で安定稼働を支える
ーーまず、中日新聞社さまのシステム部門の役割について教えて頂けますか。
長野さま 私たちシステム部は、中日新聞社の新聞制作に関わるシステム全般を担当しています。主な業務は、新聞制作の一連のプロセスを支えることです。記者が取材した記事や画像を管理し、それを新聞の紙面に組み上げて広告とドッキングし、最終的に印刷工場に印刷するための版を作成するまでのシステム群を担当しています。また、記事や画像をWebに掲載するためのシステム開発も私たちの業務です。また関連部署の情報インフラ部では、ネットワークやセキュリティ、仮想化基盤などの管理も担当しています。
私たちの部署は名古屋本社に35名が在籍しているほか、東京にも同様のシステム部門があり、24時間体制で運営しています。新聞制作は一日も止めることができないため、常に誰かが対応できる体制を整えています。
村田さま 先ほど長野が説明した新聞制作システムに加えて、全社的なデータベースサービスの管理や、「中日新聞Web」というWebサイトのシステム基盤の維持や運用も担当しています。
システムの全体最適化のための時間を確保。第三者保守導入で柔軟な対応を実現
ーー第三者保守の導入を検討されたきっかけを教えて頂けますか。
長野さま 今回、私たちが第三者保守を導入したのは、「広告システム」と「紙面出力システム」の2つのシステムです。広告システムについては、2023年9月にストレージの保守が終了してスポット保守になり、サーバー本体は2024年10月に保守期限を迎える予定でした。通常、システムのライフサイクルは「OSの保守期限」か「ハードウェアの保守期限」のどちらかが終点となります。
当初は、ハードウェアの保守期限に合わせて早急に機器を更新する予定でしたが、会社から「もう少しシステムの全体最適化ができないか」という命題を与えられました。システムの最適化とは、業務フローの改善や、システムごとの重複機能の共通化や集約などです。このシステムの最適化には大規模で複雑な作業が含まれるため、十分な検討時間が必要でした。
そこで、現行システムの使用期間延長のため第三者保守サービスを導入し、システム検討から更新までの時間を確保することにしたのです。
特殊機器への対応力と安定した保守の運用実績。ゲットイットを選んだ決め手
ーー第三者保守のパートナーに、ゲットイットを選んだ理由を教えて頂けますか。
長野さま ゲットイットさんを選んだ決め手は、特殊な機器への対応力と実績です。この判断に至った背景には、2019年頃の出来事があります。当時、私たちが直面していたのはStratus(ストラタス)社の「Fault Tolerant ftServer(フォールトトレラント・エフティ―サーバー)」という機器の保守切れ問題でした。
このサーバーはあまり一般的ではない機器で、多くの保守会社では対応が難しいものだったのです。そんな中、ゲットイットさんがこの特殊なサーバーにも対応可能だと知りました。最終的に複数社で相見積もりを取ってみた結果、技術力と価格面の両方でゲットイットさんが最適だという結論に至りました。
この機器の保守をお願いして以降、ゲットイットさんには数年間に渡って安定した保守サービスを提供して頂きました。今まで特に不満もなかったことから、今回の新しい案件もゲットイットさんにお願いすることにしました。
「効果」と「課題」の両面から見る第三者保守:メーカー保守との連携で実現した柔軟なシステム運用
ーー第三者保守の導入メリットや、解決できた課題を教えてください。
長野さま 第三者保守の導入メリットとして挙げられるのが、コスト面の効果です。一般的にメーカーの延長保守の場合、5年間の基本保守期間後は1年単位での更新が必要となり、費用も年々上昇する傾向にあります。そういう観点で比較すると、第三者保守にしたことでのコスト削減効果がありました。
村田さま 保守手続きの簡素化も大きなメリットとなりました。ゲットイットさんの場合、ハードウェアの型番や仕様、OS・ミドルウェアの一覧を提供するだけで保守が可能で、従来は必要だった実機の詳細な説明が不要でした。加えて、ログの取得方法など技術的な操作についても丁寧な説明があり、私たちの運用技術の向上にもつながりました。
ーー第三者保守の導入時に、課題や調整事項はありましたか。
長野さま ハードウェアの保守自体は特に問題ありませんでしたが、広告管理システムの保守運用で課題がありました。我々の広告管理システムは、アプリケーションからハードウエアまで全てを同一メーカーが一括で担当するものでした。
この保守体系が、第三者保守導入時の課題となりました。具体的には、ハードウェア保守のみを第三者保守に切り替える際、「OS・ミドルウェアの保守をどうするか」という問題に直面し、この解決にメーカーと協議が必要でした。最終的には「アプリケーションに必要なミドルウェアの保守は継続するが、ハードウェアの保守期限が切れた時点で特定のミドルウェアの保守は終了する」といった調整をメーカーと行いました。このような細かな調整を行い、メーカーと第三者保守会社の責任分界点を明確にしました。
今後の展望:第三者保守の活用とシステム更新の最適化に向けて
ーー今後の展望について教えてください。第三者保守の活用を広げていく予定はありますか。
長野さま 今後、クラウド化や仮想化の進展により、ハードウェアの数自体は減少していきますが、「ハードウェアの保守期限」という問題はどのような技術を使っていても必ず付いて回ります。そのため、今回のような「ハードウェア更新の時間を確保したい」というケースは、今後も大なり小なり出てくるでしょう。そういった場合に、時間確保の選択肢として第三者保守の活用を考えています。
ーー最後に、ゲットイットへの期待や要望があればお聞かせください。
村田さま 保守を頂いている機器で故障が発生した際は、迅速な対応を期待します。
長野さま 同様に故障時の迅速な対応を期待します、と言いたいところですが、むしろ壊れないことを祈っています。私たちは壊れないことが、一番有り難いです。「ゲットイットさんに保守をお願いしたら機器は壊れない」というジンクスができるくらい、安定して稼働してほしいですね。
今後の要望としては、「OSとミドルウェアを含めた包括的な保守サービス」の提供が挙げられます。これは非常に野心的な要望かもしれませんが、ゲットイットさんがこのような保守体制を実現できれば、第三者保守の需要が大きく広がる可能性があります。
完全な包括サービスでなくとも、OSやミドルウェアのライセンス費用の支払い先を一本化できるだけでも、私たちユーザーにとっては大きなメリットになります。このような柔軟なサービス展開で、さらなる利便性の向上に期待しています。
ーー本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。