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MEMBER INTERVIEW

一人ひとりの意志が、
会社を変え、社会を動かす(後半)

代表取締役:廣田 優輝


音楽好きで、学生時代はベーシスト、経営者仲間とはメジャーリリースも経験。最近は自社の価値観を内外に発信し、社の一体感を高める求心力として社歌をつくり、社歌コンテストの最優秀賞に入選をはたした。

インタビュー

一人ひとりの意志が、会社を変え、社会を動かす(後半)

リユースIT機器の売買から始まったゲットイットの歩みは、単なるリユースビジネスの枠を超え、いまやサステナブルな社会の実現にも貢献する存在へと進化しています。背景にあるのは、目の前のお客さまの課題に丁寧に向き合いながら、環境負荷や資源の偏在といったグローバルな課題にも少しずつ目を向けてきた姿勢。そうした積み重ねが、ゲットイットの事業に独自の価値を与えてきました。今回は創業者であり代表の廣田優輝さんに、創業当時のエピソードから事業の転機、そしてこれから描く未来の構想まで、じっくりとお話を伺いました。
聞き手:西谷 忠和(ライター)

 

便利さの裏側にある課題へ、事業を通じて向き合う

―――廣田社長から見た時に、あらためてゲットイットの強みはどんなところだと思いますか。

私たちの一番の強みは、「解を見出す力」だと思っています。
ゲットイットは、ハードウェアに詳しいメンバーが集まって始まった会社ではありません。むしろ、ハードウェアに詳しくなかったからこそ、分からないなりに手を動かし、考えながら、自分たちなりのやり方を編み出してきたという経緯があります。設立から25年にわたってハードウェアに向き合い続ける中で、一般的な汎用品に限らず、競合他社が敬遠しがちな難しい類いの製品に対しても、「まずはやってみよう」と取り組み、きちんと解を導いてきました。

「これは他社もやっているから、うちでもやれるだろう」という案件もあれば、「これは他社にはできないけれど、ゲットイットならどうだろう」と問われる案件もあります。私たちはどちらの場合でも、「ノー」とは言いません。まずはお客さまからの要望を聞いてみて、考えて、答えを見つけ出す。その姿勢と経験の積み重ねが、他にはない私たちの強さになっていると感じています。

この「考えて、答えを出す力」は、社員一人ひとりにも根づいています。私たちは、長い間マニュアルや手順書をつくらずに、「自分で考える」ことを何よりも大事にしてきました。正社員になるにも、上から与えられたタスクをこなすのではなく、「自分が何をできれば、正社員としてふさわしいのか」を自分で考えることを求めてきたのです。

値付けからリファービッシュ(再生)にいたる過程において、「どうしてそれをするのか」という“なぜ”を問い続けてきました。値段一つ取っても、時価という不確実性の中で、自分の頭で考えなければ正解にはたどり着けません。だからこそ、技術だけではなく、価格、提供価値、サービスの目的までを含めて、社員全員が自ら思考し、納得のいく形で仕事を進めています。

「これをやればいい」と覚えるのではなく、「なぜこれをやるのか」を考えること。それが、ゲットイットのイズムであり、創業以来受け継がれてきたDNAだと思っています。この考える文化が「自律分散型経営」(※)へつながっています。社員が自らの判断で考え、動ける組織をつくる基盤になっているのです。

※従来のトップダウン型の組織構造とは異なり、社員一人ひとりが意思決定権を持ち、自律的に行動することを重視した経営スタイル

意思決定の解放が、当事者意識を育てる

―――「自律分散型経営」の他に、「全員参加型経営」というのもありますが、これを掲げているのはどういった理由からでしょうか?

私たちが「全員参加型経営」を掲げているのは、社員一人ひとりが「この会社は自分たちのものだ」と実感できる組織でありたいからです。「うちの会社」と自然に言える関係性って、実は簡単なようでいて、とても難しい。例えば、他人の家に招かれて「好きに使って」と言われても、本当に自宅のようにくつろげる人は少ないですよね。それはなぜかといえば、その場所の“意思決定”に関われていないからだと思うんです。壁紙を変えることもできなければ、お金の使い方を決めることもできない。だから、どこか“他人の場所”のままになってしまう。会社も同じで、働く場を「自分の居場所」と感じてもらうためには、少しずつでも意思決定の幅を広げていくことが欠かせません。そこで私たちは、まず「お金の使い方」の部分から開放することにしました。例えば、ボールペン1本の購入といった小さなことから、備品の選定や消耗品の管理、事業部ごとの予算運用までを現場に任せるようにしてきました。

さらに、利益の使い道についても、営業部門だけでなくバックオフィスを含む全員で話し合い、必要なところに再配分する。こうしたプロセスを通じて、「会社のお金を自分たちでデザインする」という感覚が少しずつ育まれていきます。

もちろん、すべての判断を個人に委ねるのは現実的ではありません。けれど、「自分も考え、選び、決めている」という体験があるかどうか。それが、自分の会社として向き合うための第一歩になると信じています。

「完全に“自分の家”とまではいかなくても、“実家”や“親しい親戚の家”くらいの感覚で会社と関われたら、もっと自由に、もっと主体的に働けるのではないか」そんな思いから、私たちは日々、全員参加型の仕組みづくりに取り組んでいます。

―――しかし会社の規模が大きくなってくると、「仕組み化」も大事になってくると思います。「自律分散型経営」とのバランスはどのようにとっているのでしょうか?

「自律分散型経営」というのは今でも大事にしている考え方です。ただ事業が拡大し、扱う機器も通信やサーバーなど、いわば企業の基幹インフラに関わるものが中心になってくると、やはり部署ごとに「品質」や「責任範囲」といったものをより明確にしていく必要が出てきました。

私自身、いくつか失敗を経験したことで、全体の業務を見直して、どこにリスクがあるのか、どこはミスが許されないのかを明確にするようにしました。もちろん、すべてをマニュアルで縛りすぎると、社員の判断力や柔軟性が失われてしまいますし、何より仕事が面白くなくなります。

しかし「ここだけは絶対に間違えちゃいけない」というポイントは明確にする。そうやって、判断が任されている領域と、ミスが許されない領域の線引きをして、今の自律分散型経営と仕組み化のバランスを取るようにしています。

お客さまとの約束、品質への責任、社会的な影響―そういったところを見つめ直した結果として、いまの体制に至っている、というのが率直なところです。

内発的な動機を大切にする組織に

―――代表として、いま大切にしている信念は何ですか?

私が大切にしているのは、「あなたは何がやりたいのか?」を出発点にすることです。会社が目指す方向に対して「人を集める」という従来の発想とは逆で、一人ひとりが持つ意思や欲求がまずあって、それをこの会社でどう表現できるか──そのマッチングが大切だと考えています。

多くの人は「仕事だから」「生活のために仕方なく」といった思考で、やりたいことを深く考えずに働いている現実があります。でも、本当の意味で人が力を発揮するのは、自分の課題感や使命感と仕事が重なったときです。たとえ、その「やりたいこと」が会社の方向性とズレたとしても、そうした内発的動機から生まれる行動にこそ価値があると思っています。

もちろんそれは簡単なことではありません。自分の本音に向き合うのは怖いし、変化を受け入れるには勇気も必要です。しかし、自分の中の「こうしたい」「こうありたい」という想いに少しずつ時間を割き、表現できる割合を増やしていく──それが仕事の質を変え、ひいては人生の質をも変えていくと信じています。

ゲットイットという会社が、そうした“想い”と“仕事”をつなぐ場でありたい。そして、社員一人ひとりが「命を使って取り組みたいこと」に出会える会社であってほしい。そんな思いで経営に向き合っています。

リユースで世界に信頼されるブランドへ

―――今後の展望を教えてください。

私たちゲットイットはこれまでの25年間のなかで、「目の前のお客さまにどう向き合うか」を大切にしながら、一歩ずつ歩んできました。そうした積み重ねの中で「サステナブルコンピューティング」というビジョンが形になり始めています。

いま、IT機器の多くが本来の寿命を迎える前に大量に廃棄されている現実があります。そしてその背景には、環境汚染や貧困、戦争といったグローバルな社会課題が絡んでいます。私たちは今、こうした課題に正面から取り組むことこそ、ゲットイットの使命だと考えています。

生成AIなどの技術革新も活用しながら、例えば職人技に依存していた査定作業をデータ化・予測可能にし、より多くの人がリユースの価値を生み出せるようにしていきたい。まだまだ取り組むべき分野は多いです。例えば、出荷されたサーバーのうち、実際にリユースされているのは25%前後とも言われており、残りの75%以上の機器が「まだ使える」のに捨てられているかもしれない。ここに大きな可能性があると感じています。

さらに、人口減少や若年層の労働力不足という日本の構造的課題も進んでいく中で、ITに求められる役割はむしろ増えていく。その状況で「システムの寿命は5〜7年が当たり前」といった固定観念にとらわれたままでよいのか。私は、そうではないと考えています。

もちろん、技術の進化を否定するものではありません。けれど、すべてが最新である必要はなく、業務によっては「今のままで十分」という領域もあります。そうした場所に対して、第三者保守やリユースで寿命を延ばし、資源とコストを最適化するという選択肢を、社会全体で考えていくべき時代に入っていると思います。

近年では「Right to Repair(修理する権利)」の動きも海外で進んでおり、日本にもその流れがやってくるでしょう。製品寿命を意図的に短く設計し、買い替えを促すような状況が続けば、それはユーザーにとってフェアではありません。メーカーとも連携しながら、市場から回収した機器を延命・再流通させていく体制──つまりリユースのエコシステムを、今後さらに発展させたいと考えています。

この取り組みは、単にゲットイットの事業領域というだけでなく、業界全体や社会全体の仕組みをどう変えていけるかという挑戦でもあります。ITという社会インフラを「使い捨て」ではなく「再利用」する発想へ。それは、行政、教育機関、企業、そして消費者が一緒になって考えていくべきテーマだと思います。

当社の今期の売上予測では46億円ほどですが、来期には50億円を超えてくる見通しです。いずれは100億円のラインを目指すというのが、私たちにとってのひとつの挑戦です。ただ、規模の拡大を追うだけではなく、どこまで人員を抑えながら、効率的かつスマートに事業を進められるかという点も重要視しています。

2024年11月には、NTTデータさんと全社包括のIT機器買取り基本契約を結ばせてもらいました。これにより、当社の取り組みや領域に対して、さまざまな企業から注目や協業の打診をいただいています。どこまで自力で進めるのか、それとも誰かと組んでいくのか──その見極めは簡単ではありませんが、社会全体に与えるインパクトを見据えながら、最良の判断をしていきたいと考えています。

さらに今後は海外展開にも注力していきたいと考えています。例えば、アフリカで高品質な中古車を日本基準で販売し、圧倒的な信頼を得ている「ビーフォワード」という企業があります。私たちもITインフラのリユースにおいて、そんな存在を目指したい。「ゲットイットのロゴがついている機器は信頼できる」と思っていただけるように、しっかりとした回収体制、品質保証、そしてリサイクルまで含めた循環の仕組みを構築していきます。
そして、成長を続けながらも、むやみに規模だけを追うのではなく、効率化と協業も見据えて、より良い社会に貢献していける企業でありたいと考えています。環境にも経済にも人にも優しい、新しいITの循環モデルをこれからも実践し続けます。

素直さと探究心が未来を切り拓く力になる

―――最後にゲットイットでは、どんな人材を求めているのでしょうか。

いちばん大切なのは、「素直さ」です。
仕事へのモチベーションは人それぞれで、「給料のため」「成長のため」など、いろいろあっていいと思っています。ただ、これからの社会や働き方を一緒に考えていくうえでは、「今までこうだった」ではなく、「これからどうありたいか」に耳を傾け、素直に受け止め、対話できる力がとても大切です。

また、考えるだけで手を動かさない人、逆に作業だけして思考を止めてしまう人──どちらかに偏ってしまうと、ここで続けるのが難しいと思います。だからこそ、行動と考察の両輪を意識できる方、そして「知らないことに対して、知ろうとする姿勢」を持った方を歓迎しています。

私たちが扱っているのは、ITハードウェア。普段あまり意識されない存在かもしれませんが、社会を支えるインフラとして、下水道管のように人々の暮らしに欠かせないものです。例えばサーバー。普通の人が毎日その存在を思い出すことはまずありません。でも、その「縁の下の力持ち」を再生し、活かし直すことが、いま世界の課題を解決するひとつの鍵になる──私たちはそう信じています。

インタビュー前半を読む

インタビュー後記:桐谷

約3年半ぶりに廣田社長の言葉を聞きながら、組織文化を育ててきた過去と、社会課題に挑む現在がしっかりと繋がっていることを実感しました。「人が主役である」という一貫した姿勢はそのままに、ゲットイットで働く意味や会社の存在価値が、より社会的・戦略的な広がりを持ち始めているーーそんな変化を目の当たりにしたインタビューでした。

ゲットイットではそんな廣田に共感し集っているメンバーたちと共に働きたい営業員さんを大募集しています。ぜひご応募をお待ちしています。

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