Photo: FIESP for the World Circular Economy Forum 2025
2025年5月、ブラジルでサーキュラーエコノミーに関する国際会議「World Circular Economy Forum 2025(*1)」が開催され、オンラインを含め世界各地から1万人以上が参加しました。今回は本フォーラムの中から、サーキュラーエコノミーの現状を伝える講演と、先進的な取り組み事例の発表について詳しくお伝えします。
サーキュラーエコノミーとは
サーキュラーエコノミーは、資源の価値をできるだけ長く経済の中に留めておくことを前提とした経済モデルです。この経済モデルが出てきた背景には、資源を採掘し、モノを製造・販売し、廃棄する、という一方向の流れを基本とする線形経済(リニアエコノミー)への危機感があります(図1)。資源の枯渇や気候変動が深刻化し対策が求められる中、リニアエコノミーからサーキュラーエコノミーへの移行は世界的に加速しています(関連記事はこちら)。この動きを支援する国際会議として、2017年から「World Circular Economy Forum」が毎年開催されています。

図1
低すぎる世界の「循環性指標」
フォーラム3日目の講演(*2)では、循環型社会についての最新のレポート『The Circularity Gap Report 2025(*3)』を、ディレクターであるマシュー・フレイザー氏が紹介。その後、関係者によるパネルディスカッションが行われました。
同レポートでは、世界で使用される資源のうち、再利用・再資源化された二次原材料の割合を「循環性指標(Circularity Metric)」として数値化しています。2025年版ではこの循環性指標が6.9%となり、2015年時点の9.1%から後退しました。その背景には、一部の分野でサーキュラー化が進む一方で、都市化や経済成長のスピードに対し、サーキュラー化の導入や再生素材の活用が追いつかず、使用される原材料の多くが未使用資源に依存している現状があります。フレイザー氏は「再利用可能なものを全て利用すれば、循環性指標は25%にできる」と述べた上で、「材料の抽出、消費、リサイクルに関して世界的な目標が示されていない」ことを課題に挙げました。
誰も取り残さないサーキュラーエコノミーの実現に向けて
循環性指標を上げていくには、より多くの資源を再利用することが不可欠です。そのためには、フォーマルセクターだけではなくインフォーマルセクターの貢献が欠かせません。しかし、制度の枠外で働くインフォーマルセクターの労働者は劣悪な環境で働いていることが多く、その貢献が正当に評価されているとはいえません。そこで、今回のフォーラム開催に先立ち、World Circular Economy Forumは関連団体と共に課題解決に向けた声明を発表しました。以下のような目標のもと、誰一人取り残さないサーキュラーな未来を共に築くことの重要性を訴えています(*4)。
- 気候変動の最前線に立つ中小企業や回収者のレジリエンス(強靭性)を高めること。
- 気候変動への適応やサーキュラーな仕組みを計画するために、政府、民間セクター、回収者が参加する制度化された対話の場を推進すること。
ガーナで電子廃棄物のリサイクルを加速-AppCyclersの挑戦
フォーラム4日目に開催された講演(*5)では、誰一人取り残さないサーキュラーな未来を実現するヒントとなるガーナの事例が紹介されました。ガーナでは、電子廃棄物の回収者が安全な環境で働けず、適正な報酬も得られないことが社会課題の一つとなっています。この解決に向けて、AppCyclers社は電子廃棄物の収集、調達、購入をデジタル化したプラットフォームを運営し、安全・安心な環境での回収と処理を可能にしています。
AppCyclers社の貢献
- 100トン以上の電子廃棄物を回収し、600台以上のデバイスを修理・再生
- 回収者が適正な報酬を得られる環境を整備
- 啓発プログラムを通じて15万人以上に情報を提供
- 市民団体と連携し、防護具の使用など健康・安全に働くための研修を実施
AppCyclersの取り組みは、回収者が健康を守りながら、安定した収入を得られる働き方を実践する後押しになっています(*6)。

サーキュラーエコノミーの可能性を、未来の希望に
世界全体で見ると、電子廃棄物は依然として増加の一途をたどっています。国連による最新の報告書『Global E-waste Monitor 2024』によると、2022年に発生した電子廃棄物は6,200万トンに達し、2010年の3,400万トンから82%増加しました。今後もこの傾向は続くと予測されています(*7)。
こうした状況の中、企業ができることの一つがIT機器のリユース促進です。日本をはじめ世界各地でより多くのIT機器が再利用されれば、サーキュラーエコノミー実現への大きな一歩となります。
ゲットイットでは、サーバーやストレージ、ネットワーク機器などのIT機器を買取り、次のユーザーへとつなげる活動を20年以上続けてきました。使わなくなったIT機器は、価値ある資源として次世代へとつなげることができます。安心安全のデータ消去、アンラック作業も承っていますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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