2024年05月14日
第三者保守サービスが支える仮想化基盤ストレージ:適切なシステム設計のための時間的猶予の確保

第三者保守サービスが支える仮想化基盤ストレージ:適切なシステム設計のための時間的猶予の確保

 

仮想化基盤の導入が進む中で、ストレージシステムの適切な選択と保守管理の重要性が高まっています。また、多くの企業がクラウドへの移行を検討しており、オンプレミスとクラウドのハイブリッド運用において、既存ストレージ資産の活用と新システムの設計や構築が課題となっています。

この状況下で適切なシステム設計を行うためには、十分な時間的猶予を確保することが重要です。そこで本記事では、仮想化基盤におけるストレージの重要性とクラウド移行のトレンドを踏まえ、第三者保守サービスの活用が「時間的猶予の確保」にどのように役立つのかについて解説します。

仮想化基盤におけるストレージの重要性と昨今のトレンド

ITベンダーが直面する課題:ガバメントクラウド移行までの「既存システムのEOSL問題」

近年、企業のIT基盤において仮想化技術の導入が加速しています。仮想化基盤は、物理リソースの効率的な活用、運用管理の簡素化、コスト削減などのメリットがあり、多くの企業にとって標準的なインフラ基盤になりつつあります。この仮想化基盤を支える重要なテクノロジーが、ストレージシステムです。

仮想化環境では、複数の仮想マシンが同一の物理リソースを共有するため、ストレージのパフォーマンスと可用性がシステム全体の性能と安定性に影響を及ぼします。たとえば、ストレージのI/Oパフォーマンスが不足すると、仮想マシンのレスポンスタイムが低下し、業務アプリケーションの処理速度が著しく低下する可能性があります。また、ストレージの障害が発生した場合、複数の仮想マシンが同時に影響を受け、広範囲のシステム停止を引き起こすリスクもあります。

そのため、仮想化基盤の設計と運用においては、ストレージシステムの選択と最適化が重要です。ストレージの可用性と冗長性を確保し、パフォーマンスを適切に管理することが、仮想化環境の安定運用と業務の継続性維持につながります。
昨今の企業のストレージ環境は、ビジネスニーズや技術的要件に応じて多様化しています。従来のSANやNASに加え、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)など、新しいストレージアーキテクチャも登場しています。さらに、クラウドコンピューティングの普及に伴い、オンプレミスからクラウドへのシステム移行も加速しています。

一方で、クラウドへの完全移行に躊躇する企業も少なくありません。一部の企業では「オンプレ回帰」と呼ばれる動きも見られます。セキュリティやレイテンシの問題、ベンダーロックインなどの懸念から、オンプレミス環境の継続利用や、クラウドとオンプレミスのハイブリッド運用を模索する企業が増えています。こうした状況下で、既存ストレージ資産の有効活用と、新システムの最適な設計や構築が重要な課題となっています。

クラウド移行 or オンプレ継続利用に伴う課題。適切なシステム設計に必要な「時間的猶予の確保」

クラウド移行 or オンプレ継続利用に伴う課題。適切なシステム設計に必要な「時間的猶予の確保」

クラウド移行やオンプレミス環境の継続利用を検討する際、多くの企業が直面する課題の一つが、適切なシステム設計を行うための「時間的制約」です。ビジネス要件の変化に迅速に対応するためには、柔軟かつ拡張性の高いシステムが求められます。しかし、既存のストレージ資産を活かしつつ、新しい要件に適合したシステムを設計して構築するには、十分な検討と準備の時間が必要です。

不十分な検討や準備で進められたシステム移行は、コストの増大や性能の低下を招き、運用負荷の増加などの問題を引き起こす可能性があります。実際に、急ぎ足でのシステム移行によって、データ移行の失敗やアプリケーションの互換性問題が発覚し、予期せぬダウンタイムなどが発生してしまい、業務に深刻な影響を与えた事例は珍しくありません。システム移行の失敗は、復旧に多大な時間とコストを要するだけでなく、企業の信頼性や競争力を大きく損なう可能性があります。

ストレージシステムは企業のデータ管理の中核を担うため、移行に伴うリスクを慎重に評価し、適切な移行計画の検討が必要です。そのためには、既存システムの延命を図りながら、新システムの設計や構築に取り組むための「時間の確保」が重要になります。

時間的猶予の確保を可能にする「第三者保守サービス」

時間的猶予の確保を可能にする「第三者保守サービス」

適切なシステム設計を行うための、時間的猶予を確保する有力な手段の一つが「第三者保守サービスの活用」です。第三者保守サービスは、ストレージやサーバーなどのITハードウェアを、メーカーではない独立企業がサポートする保守サービスです。第三者保守サービスを利用することで、企業はメーカーの保守サポート期間に縛られることなく、既存のストレージ資産を継続して使用できます。新規ストレージへの投資を先送りし、新システムの設計や移行に必要な時間を確保することが可能です。

第三者保守サービスを利用することで、メーカーサポートが終了した後も、既存ストレージ資産の使用期間を数年間延長できるケースがあります。この期間を活用して、入念なシステム設計と移行計画の策定に取り組めます。

また、昨今は多種多様なアプリケーションを共通の仮想化基盤に乗せることが一般的になっています。しかし、課題として「アプリケーションの更改タイミング」と「インフラの保守サービス期間」が合わないケースが多いのが現状です。第三者保守サービスを利用することでインフラの保守サービス期間を延長し、アプリケーションの更改タイミングに合わせてインフラの保守サービス期間を調整することが可能になります。つまり、本来分離しているアプリケーションとインフラのライフサイクルを「同期させる」ことができるのです。

第三者保守サービスの活用で、アプリケーションの更新サイクルとインフラの保守サービス期間を一致させることが可能となり、より効率的かつ戦略的なシステム運用を実現できます。

第三者保守サービス選択時の重要なポイント

第三者保守サービス選択時の重要なポイント

第三者保守サービスを選択する際は、いくつかの重要なポイントに留意する必要があります。まず、サービスプロバイダーの技術力と対応力を見極めることが肝心です。幅広いストレージ基盤に対応し、各ベンダーの機器の技術特性や障害対応方法を熟知しているプロバイダーを選びましょう。メーカーサポート終了後も継続的な保守サービスを提供でき、24時間365日の保守体制を敷いていることも重要なポイントです。

また、ストレージ機器を複数のメーカーから導入している場合、「マルチベンダー対応」が可能なサービスプロバイダーを選ぶのが良いでしょう。ベンダーの問い合わせ窓口を一本化できるため、ベンダー管理の負荷を大きく軽減できる点がメリットです。企業はベンダーごとに異なる問い合わせ窓口や管理ツールに振り回されることなく、シームレスかつ効率的にマルチベンダー環境を運用できます。

第三者保守サービスは、オンプレミス環境のストレージを継続利用するための有効な手段ですが、適用範囲と限界を見極めることが重要です。第三者保守は、あくまでもハードウェアの修理や交換などの作業が中心であり、ソフトウェアやファームウェアの更新、新機能の追加といった領域は対応範囲に限界があります。

第三者保守サービスを導入する際には、システム全体の中でどの領域に適用するのが最も効果的かを見極めることが大切です。メーカーサポートとの適切な棲み分けを行い、第三者保守サービスの強みを活かせる部分に活用することで、システム設計の最適化を図りましょう。

ゲットイットの第三者保守サービスの活用事例

ゲットイットの第三者保守サービスの活用事例

第三者保守サービスを提供する代表的な企業の一つが、私たちゲットイットです。ゲットイットは、幅広いストレージ機器に対応可能な技術力とマルチベンダー対応、24時間365日の障害対応体制を強みとしています。ゲットイットの第三者保守サービスは、大手製造業や医療機関、小売業などさまざまな業種のお客様のストレージ環境の延命に活用されてきました。

たとえば、ある総合病院では、カルテシステムの維持と保守費用削減についてゲットイットにご相談頂きました。システムはIAサーバのほかにストレージ、LTO集合型を組み合わせた複雑なもので、他社からは「IAサーバー以外は対応不可」と回答され、大変お困りでした。ゲットイットは、強力な調達網を駆使して保守部材を集めることが可能だったため、無事にお客さまの希望される内容の保守サービスをご提供することができ、お客さまにご満足頂けました。

複雑な医療システムを丸ごと延長保守したい – EOSL保守事例

 

また、トヨタ自動車さまでは、生産指示システムが稼働するNEC製サーバーとストレージのベンダー保守が切れ、保守更新ができなくなったことで、生産指示システムの運用リスクが高まる可能性がありました。そこで、ゲットイットが第三者保守によるNEC製品の延長保守を提供し、ベンダーが定期点検を行う体制を構築。NEC サーバーとストレージの保守継続が可能になり、保守にかかるコストも安くなりました。ゲットイットとベンダーが協力し、ベンダー点検と第三者保守による万全な保守体制を実現しました。

【トヨタ自動車さま第三者保守事例】第三者保守の活用でNECサーバー・ストレージを延命利用。ベンダーと協力して保守体制を構築した、トヨタ自動車さま第三者保守の導入事例

 

このように、ゲットイットの第三者保守サービスは、安定運用とコスト最適化を支え、時期システム設計のためのリソースを確保する役割を担っています。

まとめ

第三者保守サービスの活用は、既存ストレージ資産の延命を図り、適切なシステム設計のための時間的猶予を確保する有効な解決策です。また、アプリケーションとインフラのライフサイクルを同期し、最適なタイミングでシステム更新を行える点がメリットです。第三者保守サービスは、単なるコスト削減の手段ではなく、中長期的なIT戦略の実現に向けた重要な要素といえるでしょう。

ゲットイットのような専門プロバイダーのサービスを活用することで、企業は戦略的なシステム移行を実現できます。クラウド移行を慎重に検討し、オンプレミス環境の再構築を計画しているお客さまは、ぜひ第三者保守サービスの活用を検討してみてはいかがでしょうか。適切なサービスプロバイダーを選択し、綿密な移行計画を立てることで、ストレージシステムの円滑な進化と、ビジネスの継続的な成長を実現することができるはずです。