2021年07月01日
「行動の10年」SDGs達成に向けてゲットイットにできることとは?
「行動の10年」 SDGs達成に向けてゲットイットにできることとは?

SDGs経営の要諦は、さまざまなプレーヤーとパートナーシップを組み、未来視点であらゆる社会変動に対応できる組織体制をつくり、地球規模の課題に対して行動に移すことにあります。地球が持続可能であってこその経済活動が求められているのです。これまでのビジネスの常識とはまるで異なる世界共通のフレームワークであることを常に意識する必要があります。2015年の採択以降、さまざまな国際会議の場でもSDGsの取材を続けている経済ライターの幸村寛志氏が、ゲットイットの取り組みを紹介します。

プロフィール 幸村寛志|3つの異なる出版社で書籍編集部編集長を務めた後、2015年よりフリーランスに転身。ライフスタイル全般の書籍編集とともに、ビジネス誌を主戦場に経済ライターとして活動を開始。ヘルステックやアグリテック、スマートシティ、暗号通貨などの次世代テクノロジー、スポーツビジネス、不動産投資など幅広い分野で取材、執筆活動を行う。

SDGsは全人類が取り組むための行動計画

2015年に国連で採択されたSDGsは世界共通のフレームワークであり、企業にも社会的、倫理的責任をこれまで以上に担うように経済活動の変革を求めています。

なぜ、再びいま、SDGsにスポットが当たっているのかといえば、新型コロナウイルス感染症の影響で人類は測りしれない打撃を受け、2030年の目標達成が危ぶまれているからです。

国連開発計画は、SDGsが達成されれば、労働生産性や外部経済効果が上昇し、12兆ドル規模の市場創出につながるというレポートを発表しています。SDGsには、「誰一人置き去りにしない」というビジョンがあり、その恩恵を世界中の誰もが享受するためには、残りの10年でさらにサステナビリティを重視した活動を加速させなければなりません。

SDGsは2015年にニューヨークで開かれた、「国連持続可能な開発サミット」で、歴史上はじめて国連に加盟するすべての国が全会一致で合意した政治宣言です。その成果文書として、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(外務省仮訳)」が採択されました。2030年(一部2020年)という期限付きの17のゴールと169のターゲットには、人類が幸福になれる未来を目指すための行動計画が明解に記されています。

SDGsの17のゴールの最大の特徴は、すべての目標に相関関係が生まれるように緻密につくられているところにあります。国連は、これまで別々に取り組んでいた環境、経済、社会の課題を包括的なアプローチで解決するために全世界、全人類が一丸となって目標を共有し、活動をともにできるフレームワークを完成させたのです。

欧米だけではなく、開発途上国の企業の多くがいまや事業を行う際に設定するKPIにサステナビリティを組み込んでいます。日本でもその機運が高まっており、金融庁は、今年改訂されたコーポレートガバナンス・コードにサステナビリティを盛り込みました。大企業、プライム市場への移行を目指している企業の取り組みに影響を及ぼすことは間違いなく、変化の兆しが見えてきたといえるでしょう。

製品の原料をどのように調達したか、サプライチェーンの労働環境を把握しているか、廃棄物をどのように処理しているのか、など、ステークホルダーに対して透明性、真実性のある情報を開示しようと努力している企業が増えてきています。

ゲットイットが普及を目指すITADプロセス

ゲットイットの場合は、IT機器のリユース事業を行っているので、SDGsのゴール12、「つくる責任、つかう責任」、ターゲット12.5の「2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する」がそのまま事業モデルになります。

2020年、ゲットイットは、クライアント企業の持続可能なIT機器の運用、保守を強力にサポートするため、「サステナブルコンピューティング®」というコンセプトを打ち出しました。中古IT機器の販売、保守、買取りなど環境負荷の少ないIT運用を可能にするこれらのサービスは、グリーンITと総称されています。なかでも、日本企業への普及を目指しているのが、E-Wasteの削減にもつながるITAD(IT Asset Disposition)という考え方です。

ゲットイットが普及を目指すITADプロセス

欧米では、経営陣に情報戦略のエキスパートとしてCIO(Chief Information Officer)を置くのが一般的で、IT機器を導入してシステムを組む段階から、最終処分までを視野に入れて費用対効果や投資回収率を考慮します。これをITADプロセスと言います。ITADプロセスは、IT機器のライフサイクルの最終段階において、情報漏洩や不法投棄などを予防し、セキュリティ面や環境面を考慮した適正な処理を行うことを目的として行われます。

日本の場合は、ゲットイットのようなグリーンIT事業者の存在が認知されるまで、メーカーの定めたサイクルに従ってシステムの入れ替えをすることが長らく常態化していました。いまなお、システム更改時には、まだ十分に使えるはずのIT機器を、機密が漏洩しないように物理的に破壊して廃棄するという感覚が当たり前になってしまっている経営者は少なくありません。しかし、この方法だと、ゴミは減りませんし、コストもかさむだけです。とてもサステナビリティを重視した経営戦略とはいえません。

こうした既存のサイクルを変えるためには、一人でも多くの人がITADの重要性に気付き、プロセスを変えていくことが重要になってきます。

企業は、売却による効率的な投資回収が可能になると同時に、サステナビリティにもコミットできるのです。もちろんそのためには、情報セキュリティを安心して任せられる企業とパートナーシップを組む必要があります。

また、ゲットイットの場合は国内外のIT機器を豊富に在庫し、IT機器ハードウェアに関する包括的なソリューションを提案しているので、企業の事情に応じて、システムのサステナブルな運用に関してもさまざまな提案ができるのが強みです。メーカーの保守期限が切れたときに、システムを延伸(EOSL保守)することや、システム導入時からレンタルといった方法を選択することも可能になります。もちろん、新たなシステムに入れ替えるときには、ITADプロセスを通じて、機密データは完全に消去されます。

国内外のIT機器を豊富に揃えているからこそ、一社一社に寄り添えるサービスが可能になるのでしょう。

SDGsの取り組みにもつながるグリーンITは、クライアント企業の効果的なIT投資だけではなく、環境保全への貢献をもサポートします。このような取り組みは、これからの企業の在り方を考察するに値する枠組みと言えるかもしれません。

文 幸村寛志(経済ライター)