2023年06月01日
海外採用人材が「会社のメンバーを家族のように感じた」理由。入社3年を迎えたバングラデシュのITエンジニアにインタビューを実施

海外採用人材が「会社のメンバーを家族のように感じた」理由。入社3年を迎えたバングラデシュのITエンジニアにインタビューを実施

株式会社ゲットイット(本社:東京都中央区、代表取締役:廣田優輝)は、入社3年目を迎えたバングラデシュ出身の社員に、日本で働くことで起こりうる課題と対処についてインタビューを行いました。社内スタッフ制作の動画も併せて公開します。

ますます高まる海外人材のニーズの一方、離職率の高さがネックに

日本で就労している外国人は、2022年時点で過去最高の182万2725人(※1)になり、過去10年でおよそ3倍に増加しています。「専門的・技術的分野の人材」においても2.4倍の48万人となり、国内の生産年齢人口の減少と出生率の低下を背景として、企業が専門性のある優秀な人材を海外に求める気運はより高まることが予想されます。

その一方で課題となっているのが、外国人人材の離職率の高さおよび、入社後のモチベーションの低下です。ヒューマングローバルタレント株式会社が実施した調査(※2)によると、外国籍人材の28%が入社後1年以内の早期離職を経験しており、これは国内の離職率13.9%(※3)に比べ2倍以上の数字となっています。また同調査では、早期退職をしなかった人材でも、53%が何らかのモチベーションダウンを経験したことを示しています。外国人社員を雇用したい企業のニーズが高まる一方、そうした人材が定着・活躍する仕組みには課題があるのが現状といえます。

入社3年目を迎えたバングラデシュ出身のエンジニアへのインタビュー

株式会社ゲットイットは重点採用事項の一つに「外国人採用」を掲げ、2020年以降で5名の外国人社員を採用しました。しかしその中には1年以内の早期離職を選んだメンバーもいます。外国人社員の活躍という課題に完璧な対応ができているわけではなく、得た経験をもとに最善のあり方を模索しているのが実状です。

その中で、当インタビューの対象となるカーン・タンズィドさんとナズムル・ホークさんは入社3年目を迎えました。2人の出身国であるバングラデシュは、2010年から生活に関わるすべてをデジタル化するという「デジタルバングラデシュ」計画を推進し、インターネットの普及率は当初の100倍を達成。24年までソフトウェアおよびITアウトソーシングは100%税が免除されるなど、ITを軸にした経済成長を目指しています。政府のデジタルスキル促進の取り組みも手伝って、優秀なITエンジニアの輩出で注目を集めています。

カーン・タンズィドさんとナズムル・ホークさんは、日本市場向けバングラデシュITエンジニア育成プログラム「B-JET」(Bangladesh-Japan ICT Engineers’ Training Program:※4)を通して、2020年にゲットイットに入社しました。コロナ渦の影響もあり、リモートで採用・研修を受け、2年間のバングラデシュ勤務を経て来日(※5)。6月で入社3年を迎える現在は、中央区に居住しながら、専門であるソフトウェアエンジニアの分野で活躍しています。

このインタビューでは、当社での2人の働き方とともに、上記調査におけるモチベーション低下の理由のトップ2、「上司の指導に対しての不満(49%)」、「外国人に対して差別や偏見がある(39%)」について質問しました。当記事では、その中で効果的だったという①業務面でのサポート②感情面でのサポート③暮らしのサポートを中心に紹介します。

①業務面でのサポート②感情面でのサポート③暮らしのサポート

①業務面でのサポート:業務の「Space」とスキルアップの実感

―――お2人の仕事内容について聞かせてください。

ナズムルさん(以下敬称略)
ソフトウェアエンジニアとして、社内のソフトウェア関連の課題をサポートしています。具体的にはCLOU(クルー)という、社内の業務目標共有ツールの開発と管理、タイムカードのシステム修正などをしています。

タンズィド
同じくソフトウェアエンジニアとして、ERMS(電子情報資源管理システム)やHRM(人事労務管理)などに関連するアプリケーションの開発に携わっています。開発中、時には物理的なデバイスでテストする必要があるので、Zetta(当社の倉庫機能)に行ってテストをすることもあります。ITシステム部門のメンバーとしてハードウェアの問題の物理的な対応・修理も行います。

―――2人はバングラデシュで2年勤務した後、来日しています。動画の中で、採用担当の2人が空港に迎えにきたシーンが印象的でした。その時の気持ちを聞かせてください。

タンズィド
とても嬉しかったです。乗り継ぎもあって、バングラデシュから日本まで15時間近くかかり、疲れていました。しかし採用担当の2人の顔を見て疲れが吹き飛びました。

ナズムル
成田空港は人が多くて、最初私たちは彼女たちを見つけられなかった。Kさんが私たちの名前を叫び、彼女に気づきました。電車の切符の買い方を教えてくれて、中央区の住居まで同行してくれました。切符の買い方も電車の乗り換えも、駅から住居までの道も私たちには未知のことで、難しかった。なので非常に助かりました。また、飛行機が遅延したにも関わらず、労務担当のHさんが家で待っていて歓迎してくれたことにも感銘を受けました。
空港での様子。右からタンズィドさん、ナズムルさん、採用担当の2人

▲空港での様子。右からタンズィドさん、ナズムルさん、採用担当の2人

2人が来日時に社員に渡した贈り物。右側のプレゼントには社員名をベンガル語で記した

▲2人が来日時に社員に渡した贈り物。右側のプレゼントには社員名をベンガル語で記した

―――来日後の働き方について質問します。外国人社員のモチベーションが下がる理由として、49%の人が「上司の指導に対して不満がある」と回答しています。しかし動画の中で、お二人は先輩のOさんへの信頼を口にしていました。彼の指導について教えてください。

タンズィド
業務的にも、言語的にも手厚いサポートをしてもらっています。まずOさんはITエンジニアとしての知識が卓越しており、何を聞いてもアイディアをくれます。やりとりは日本語で行なっていますが、一番シンプルな日本語をゆっくり喋ってくれるので、理解ができます。また、指示がわからない際は必ずディスカッションの時間を取ってくれます。

ナズムル
指示を出すボスというより、頼りになる先輩という形で私たちを助けてくれます。言葉だけでわからない場合は、グラフなど視覚的な情報を作ってくれます。
また、私たちを信頼して、業務のSpace(空間・余白。主体的に取り組んでいくべき業務上の課題)とOwnership(自身の担当であるという責任感)を与えてくれます。Oさんが回答を示すのでなく、解決すべきSpaceを示し、それにチャレンジさせてくれます。それが私たちに「It’s my work! これは自分の仕事だ」という責任感を与えます。Spaceを埋めるプロセスは創造的ですし、やり遂げたときはモチベーションが高まります。

―――外国人社員の中には、日本特有の年功序列型の給与体系や、ステップアップの道筋が不透明なことで転職を選ぶ人もいます。2人はゲットイットでのキャリアパスについてどう考えていますか。

ナズムル
不満がありません。先も述べたように、私たちの仕事にはSpaceの探求が含まれており、それを通してスキルアップの実感を持てるからです。ソフトウェアエンジニアとして自分の技量が上がることが私にとってのステップアップです。そのおかげで、人の仕事や給与と競争するのではなく、自らの熟練に集中できています。

タンズィド
私も、ステップアップの道筋はスキルの熟練によって示されていると感じます。Oさんは私たちが難題に直面した時、問題に対する違うアイディアや観点を示し、創造性を引き出してくれます。彼はモチベーショナルな同僚です。またゲットイット には、年に4回の昇給システムがあります。そこで自分の貢献に応じて昇給幅を選べることも、モチベーションを高めてくれます。

②感情面でのサポート:お互いの文化への関心と親切心

―――外国出身の社員のモチベーションが下がる理由として、外国人に対して差別・偏見があると回答した人が39%います。ふたりはゲットイット でそれを感じたことがありますか。

タンズィド
感じたことはありません。同僚は私たちを特別扱いせず、フラットに接します。私は自分たちや自分たちの文化へのリスペクトを感じ、感謝の気持ちを持っています。

―――具体的なエピソードはありますか。

タンズィド
たとえば食べ物への配慮です。半年に一度行われる経営共有会では、ハラルフードによるお弁当を用意してもらい、感謝しています。同僚が開いてくれた「バングラデシュナイト」ではハラルフードの買出しに一緒に行き、バングラデシュ料理をみんなで作って食べました。祖国の料理に興味を持ってもらえて嬉しかったです。

ナズムル
お祈りの時間やラマダン(イスラム教の断食の期間)への理解にも感謝しています。ラマダンについては多くの方が興味を持ってくれ、廣田社長は一緒に断食にトライしました。私たちの文化へのリスペクトを強く感じました。
バングラデシュナイトの様子

▲バングラデシュナイトの様子

タンズィドさんが作ったバングラデシュ料理

▲タンズィドさんが作ったバングラデシュ料理

―――動画の中で、「社員を家族のように感じている」と言っていました。そう思ったきっかけはありますか。

ナズムル
はい。同僚が業務外の時間も一緒に過ごしてくれた時、家族のように感じました。家族は仕事や学業の時間以外もともに過ごします。同僚たちはそのように、業務以外の時間にも私たちを気にかけてくれました。たとえば私がゴールデンウィークに静岡に行こうとした時、ある同僚は長距離バスのチケット購入という難しい作業を手伝ってくれました。先輩のOさんは千葉でのキャンプを企画してくれました。秋葉原の電気街に一緒に行ったり、隅田川で釣りをガイドしてくれた同僚もいます。

タンズィド
バングラデシュで研修を受けていた時、「日本に行ったらスカイツリーに行きたい」と言ったのを覚えてくれている同僚がいました。彼女たちはスカイツリーを案内してくれました。覚えてくれていたことも、実際に行けたことにも感銘を受けました。また、休日に自宅に呼んでランチを振舞ってくれた同僚もいました。バングラデシュでは家族同然に親しい人を家に呼びます。この招待は嬉しかったです。
日本に行ったらスカイツリーに行きたい

▲初スカイツリー

③暮らしのサポート:在留カードや住居、病院などインフラ面の協力

―――他に、このようなサポートがあると外国人社員は助かると思うことがあれば、教えてください。

タンズィド
生活面でのサポートに強く感謝しています。鉄道の切符購入や乗り換え、銀行の使用、スーパーでの買い物など、日本の人が普通にできる手続きが私たちには新しく、難しいです。それをサポートしてくれるおかげで、私たちは生活面でナーバスにならずに、仕事に集中できます。私が病院に行く必要があった時、同僚が同行してくれたことには深く感謝しています。病院もまた、私たちにとって難しい場所の一つです。

ナズムル
私たちの住居を会社が用意してくれました。しかし家を借りる、家具を揃えるといったプロセスは私たちには難しかったはずです。日本に来たバングラデシュの友人はその困難を口にします。その家の2階に住んでいる方も私たちを気にかけて、声をかけてくれます。夕飯のおかずを交換することもあります。

タンズィド
在留カードの手続きなど、行政から送られてくる文書も、文章が難しすぎることがあります。その読解を手伝ってくれる同僚に感謝しています。
気づいたことがあります。廣田社長もそうですが、ゲットイットには海外経験のある人が多いです。語学面でのサポートに加え、彼らの海外経験がもたらす私たちへの洞察力が、私たちの困難を減らしてくれていると感じます。

注釈
※1 厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況まとめ(令和4年10月末現在)
※2 ヒューマングローバルタレント株式会社、株式会社エイムソウル、リフト株式会社「日本で働く外国籍人材の離職とモチベーションダウンに関する調査
※3 厚生労働省「令和3年雇用動向調査結果の概況
※4 B-JET(Bangladesh-Japan ICT Engineers’ Training Program)日本市場向けバングラデシュITエンジニア育成プログラム
※5 リモートでの採用・研修の詳細

株式会社ゲットイット

株式会社ゲットイット

都内2,000㎡倉庫(勝どきZETTA)の豊富な在庫量と、マルチベンダー対応の技術力で、企業の抱えるITの「困った」を解決。サーバー・ネットワーク機器等ITハードウェアの専門家として、レガシーシステム運用に必要なEOSL保守(第三者保守)から、検証環境構築のための機器レンタル、情報機器処分(ITAD)に伴うデータ消去や買取りサービス、コスト削減のリユース販売まで、1社1社のオーダーに応える形で様々なハードウェア関連サービスを提供。株式会社ゲットイットは、持続可能な社会発展へ向けた「SDGs」への関心の高まりを受け、「使えるものは、長く使う」「使い終わったものは、次につなげる」の2点を掲げ、保守による機器の長寿命化や機器のリユース・リサイクルにより、ITハードウェアの持続可能な運用のための総合サービス「Sustainable Computing ®」※ を展開しています。

 

社名  :株式会社ゲットイット
URL  :https://www.get-it.ne.jp
所在地 :東京都中央区築地3-7-10 JS築地ビル4F
代表者 :廣田 優輝
設立  :2001年4月
事業内容:ITハードウェアサービス:第三者保守、EOSL保守、販売、買取り、修理、レンタル、移設、構築、データ消去 等

※Sustainable Computing ®(サステナブルコンピューティング®)とは、「使えるものは、長く使おう」「使い終わったものは、次につなげよう」をコンセプトにゲットイットが考案した「ITハードウェアの持続可能な運用のための総合サービス」の名称です。

本件に関するお問い合わせ窓口

担当者  : 世一(ヨイチ)
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