システム維持に掛かるコストは年々増加し、新しいテクノロジーに投資できる予算を圧迫することに。近年の金融業では、顧客の利便性向上や企業の付加価値向上、競争力強化のため、自社のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する「フィンテックへの投資」が欠かせません。
増え続ける既存システムの「保守コスト削減」と「DX推進予算の確保」は、金融業の共通課題といえるでしょう。本課題の解決策になるのが「第三者保守」です。本記事では、金融業の「コストカット」と「DX推進」を実現する第三者保守について紹介します。
金融業における「ベンダー保守コスト高」の課題
金融業のシステムは、万が一障害が起こっても業務を止めないための「高度な保守」が求められます。銀行や証券の取引システムで不具合が生じると、個人情報や機密情報が漏えいする「セキュリティ事故」につながる可能性が高くなります。また、システム障害は世の中に大々的に報じられ、企業の信用や業績に深刻な影響を与えるでしょう。
金融システムを安全に運用するには、「高いセキュリティ」と「可用性」を担保する必要があり、運用保守を務めるベンダーは手厚い保守サービスを提供。その結果、金融業がベンダーに支払う保守コストは増加し、「保守コストの高止まり」が課題となっています。
また近年の金融業界では、金融とITを組み合わせて新しいサービスを生み出す「フィンテック」に多くの企業が注目。各企業ともに「金融システムのオープンな連携」や「ビットコインなど仮想通貨の対応」「AIを駆使した資産運用」などの実現に向けて、フィンテックへの投資を重要視しています。
IT投資のニーズが高まる一方で、マイナス金利を始めとする金融政策により、金融業全体の収益力は低下傾向に。金融業を取り巻く厳しい経営環境のなかで、新しいデジタル技術で新たなサービスを創出するには、「既存システムの保守コスト見直し」が不可欠な状況です。金融業で長年維持されてきたベンダー保守について、再検討が必要な転換期を迎えています。
金融業の保守コストカットに有効な「第三者保守の活用」
本課題に対して、有効な解決策となるのが「第三者保守の活用」です。ベンダーに変わってハードウェアの安定稼働を支援する「第三者保守」が、いま金融業で注目を集めています。
第三者保守が注目される理由の一つに、2019年3月に金融庁が発表した「金融業のITガバナンスに関する実態把握結果事例集」の存在があります。金融業がIT ガバナンスを強化し、企業価値を創出するための「考え方」や「着眼点」を紹介しています。
金融庁は本資料のなかで、金融業が自社のITリソース(資源管理)を最適化し、システム費用を削減する有効な手段として、「第三者保守の活用」を挙げています。漠然と毎年同じ保守を継続するのではなく、ITシステムごとに求められる「必要なサービスレベル」や「作業内容」を洗い出し、第三者保守へ契約見直しを行うことで、コスト削減できる可能性を示しているのです。
(カネ)
● システム維持・制度対応案件を抑制する一方で、戦略的な投資案件の強化
● 毎年固定的に発生する保守費用について、システム費用削減を目的に第三者による妥当性の検証、作業内容に応じた支払となるよう保守契約の見直し
また金融系のシステムでは、通例として「監視センター」や「運用マニュアル」が整備されており、これらの体制整備にも多大なコストが投じられています。第三者保守を活用することで、ハードウェアやソフトウェアだけでなく、これら貴重な資産やノウハウも延長し有効活用できます。金融業の各企業は「システム更改の検討猶予」を持つことが可能となるのです。
金融業でコストカットを実現するには、「システムに応じた第三者保守の活用」がキーポイントといえます。
第三者保守による「コストカット効果」と「DX戦略」
金融業を取り巻く情勢やコストカット効果の期待から、金融業で第三者保守の活用が進んでいます。これまで一般的だった「ハードウェアのベンダー保守を継続し続ける」「保守期限切れ(EOSL)を機にシステムをリプレイスする」といった、従来のIT投資サイクルを見直す動きが活発化しています。
金融業のシステムは、サーバーやストレージが何十台、何百台もある「巨大なシステム」が多いのが特徴です。必然的に既存システムに支払う保守費は膨らみ、リプレイスするにも多額の追加投資が必要になります。また、EOSLを迎えたハードウェアのベンダー保守は割高になるため、これらの費用が金融業にとって大きな負担となっていました。
昨今のトレンドとして、「ハードウェアのEOSL前後」にベンダー保守から第三者保守へ切り替え、システムを延命して運用する金融業が増えています。既存のハードウェア基盤でシステムを維持することで、保守運用や部品交換に掛かるコスト負担を大幅に軽減。金融業のシステムは巨大である分、第三者保守による「ITシステムの延命」や「保守切替」のコスト削減効果は大きく、多くの企業がコストカットに成功しています。
第三者保守は、「長年に渡り安定稼働しているシステム」や「近い将来に停止が決まっているシステム」などに適しています。これらシステムに第三者保守を活用し、戦略的にシステム更改やサーバーリプレイスを延命することで、「コスト」と「リソース」が削減可能です。
第三者保守で創出した「予算」や「人」のリソースは、フィンテックを始めとするDX推進に役立つビジネスへ投資。コストカットとフィンテック投資のサイクルを廻し、ビジネス強化を図っていくのが「第三者保守を活用したDX戦略」です。
第三者保守は「SIerとの連携」でより効果を発揮する
金融業において第三者保守の活用が進む一方で、保守窓口を務めるベンダーの切り替えを不安視する企業も少なくありません。長年に渡り、信頼関係のあるSIerなどのベンダーが運用保守を担っている場合、すべての保守を第三者保守サービス企業に切り替えることは不安や抵抗もあるでしょう。
このような場合、「SIerなどのベンダー」と「第三者保守サービス企業」で顧客ニーズに合わせて役割分担することで、第三者保守のメリットを活かすことが可能です。たとえば保守窓口と保守作業は従来通りベンダーが担当し、第三者保守サービス企業はシステムに必要な交換パーツのみを提供。第三者保守サービス企業はSIerやベンダーと連携して、保守部品を素早く安定的に供給する役目を担います。
本体制を築くことで、ユーザーである金融業は「SIerやベンダーの保守窓口」を変える必要がありません。既存ベンダーと取引関係を維持しつつ、第三者保守によるコストカットの恩恵を受けることが可能です。顧客窓口を務めるSIerやベンダーにとっても、「EOSLで修理交換パーツの在庫がない」「ユーザーから保守コストの値下げ要求が厳しい」などの状況や要求に、柔軟に対応することができます。
第三者保守は「頼れるパートナー選び」が最重要
金融業における「コストカット」や「DX推進」の経営課題に対して、第三者保守が有効な解決策になり得ます。第三者保守サービスを活用する上で、最も重要なポイントになるのが「第三者保守サービス企業選び」です。
シビアな保守運用が求められる金融業では、「保守部品を確実に届ける部材調達力」と「迅速に障害対応できるサービス体制と技術力」が必須になります。また、SIerなどのベンダーと「どのようなサービス連携が取れるか」といった支援体制が、第三者保守サービス企業を選ぶポイントになるでしょう。
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