2020年、使用台数でSSDがついにHDDを超えたと言われています。IT機器の多くが5~7年で入れ替わると考えた場合、今後、IT機器の処分/売却時のデータ消去ではSSD搭載機器が主流となります。しかし、比較的新しい記憶媒体であるSSDについては、その動作原理などが十分には知られておらず、データ消去においても、HDD用のソフトウェアを用いた上書き消去を行うなど、不適切なデータ消去手法が選択されることも散見されます。
ゲットイットでは、年間約10万台を超えるIT機器のリユースに伴うデータ消去を行っており、安全で確実性の高いデータ消去サービスを提供するための技術を追及してきました。データ消去手法に関するコンサルテーションも行っており、セキュリティとコストに加えて環境負荷についても考慮した、データの管理者による責任あるデータ消去手法の合理的な選択の支援を行っています。
本ホワイトペーパーでは、データ消去・データ復旧の両分野のスペシャリストの沼田理氏がSSDのデータ消去の理解に必要な知識を解説します。
●講師紹介
沼田 理(ぬまた まこと)
大学にて電子材料や半導体材料の研究を行った後、電気部品会社にてコンデンサの開発業務に従事。1970年代のオーディオブームで電子部品と音の関係に注目が高まる中、当時オーディオ御三家と言われた山水電気株式会社に移る。その後、オランダのPHILIPS社に1年半在籍・滞在中、ミュージックCDのプロトタイプの研究開発プロジェクトに携わる。1986年に株式会社ワイ・イー・データに転職、フロッピーディスクやハードディスク、テープドライブなど磁気記憶装置の設計開発に携わる。2001年には日本におけるデータ復旧事業の草分け的存在のオントラック事業部に異動し、2006年から事業部長を務める。2010年に定年退職後、日本データ復旧協会事務局長、データ復旧関連複数社の顧問を務め、技術情報やWeb原稿の提供を行う。また、IDF(デジタル・フォレンジック研究会)にてデータ消去分科会のメンバーとして活動、技術解説レポートを提供し、磁気記録の上書きの原理等についての講演等も行う。2019年からはADEC(データ適正消去実行証明協議会)の技術顧問やKLDiscovery Ontrack社 技術担当広報を務める。2020年2月より、株式会社ゲットイットの技術顧問に就任。神奈川県情報流出事件以降は、新ガイドライン策定へ向けた行政からの技術諮問に応じるなどの活動も行っている。40年近くにわたりデジタル記憶装置の研究開発に携わり、国内外のデータ復旧・消去における最新情報に精通したスペシャリストとして、多岐に渡り活躍している。
執筆文献:「データ抹消に関する米国文書(規格)及びHDD、SSD の技術解説」「ADEC データ消去技術ガイドブック 第2版」他。
SSDのデータ消去と寿命
【目次・主な内容】
1.はじめに
・データ復旧ソフトでデータの復元が可能な場合とその理由
・HDDとSSDの互換性
2.HDDとSSDは何が違うのか(基本動作)
・独自の動作:長寿命化技術、高速化技術
・HDDとの動作比較(内部領域)
3.NIST SP800-88Rev.1におけるクリア、パージ、デストロイとは
・各データ抹消レベルの解説
4.電磁記憶媒体の寿命
・フラッシュメモリの動作原理、大容量化と寿命の関係、現実的な耐久性
5.まとめ
・SSDのデータ消去における注意点
※原則として無期限での公開を予定していますが、技術動向に大きな変化等があった場合には、一時取下げ/修正などの可能性があります。