2021年05月11日
グリーンITの付加価値とは?~環境負荷を低減させる選択~

グリーンITの付加価値とは?~環境負荷を低減させる選択~

 

企業活動とサステナビリティを考える際に重要なのが「外部不経済」という考え方です。例えば、鉄や水を使いCO2を排出して製品を製造、販売し、最終的には廃棄物になるという一連の企業活動が環境に与える負荷は、多くの場合遠い国や何十年後の未来という市場の「外部」で現れます。社会的コストがその企業の活動している市場の外部で影響を与えるため、市場原理に任せているだけでは適切にコストが反映されないこと、これが環境問題がここまで深刻化してしまった要因の一つと言えます*。

 
製造時の環境負荷が最も高い
ICT機器を例に考えてみましょう。ICT機器が環境に与えるインパクトは、製造時、運用時、廃棄時の3つのフェーズに分けることができます。ICT機器のエコ認証機関であるTCO Certifiedのレポート*によると、ノートPCがライフサイクル全体で排出するCO2のうち、約80%が製造時に生じるものです。また、製造時はCO2の排出だけではなく、レアメタルなどの貴金属の使用、それにともなう紛争鉱物や劣悪な労働環境による人権侵害、有害な化学物質による環境汚染などの問題をもはらむことが指摘されています*。

 

このような理由から、これからの時代は今あるものを長く使うという選択肢を検討していく必要があります。最新の機器のほうが省エネ技術が高いので環境に優しいのでは?と考える方もいるかもしれません。もちろん省エネ技術を向上させることも重要です。しかしエネルギー効率が20%向上したノートパソコンを購入した場合でも、17〜44年使わなければ製造時の排出量を取り戻すことができないことが明らかになっています(TCO Cerified 2020)。

 
サーバーの環境負荷はアイドリング時のインパクト大
サーバーはどうでしょうか?サーバーは24/365で稼働する前提ですから運用時の環境負荷はPCよりも大きく、省エネ技術がもたらすインパクトもその分増大します。イギリスの研究者によるレポート*によると、実際に2007年から2015年にかけてサーバーのエネルギー効率は大幅に向上しました。しかし8コアのCPUが登場した2015年以降、その動きは鈍化しています。これは主にアイドリング時に必要な電力が増加したためで、アイドリング状態で稼働することが多いデータセンターのサーバー(平均的な使用率は25%)にとっては電力消費増のインパクトが省エネ技術の向上を上回るという結果になりました。必ずしも新しければ環境負荷が低いわけではなく、使用する状況や目的を考える必要があることが指摘されています。

 
グリーンITができること。CO2排出量の大幅カット
お客さまの使用環境やご要望に沿って、最適なグリーンIT*をご提案をするのが私たちゲットイットの強みです。ゲットイットでは、事業活動が与える環境負荷の可視化を始めています。当社から1Uのリユースサーバーを1台購入する場合、温室効果ガス排出量は3kg-CO2e*です。これにはお客さまの拠点から買い取った機器の輸送時に生じるCO2、検査時に使用する電力、クリーニングのための資材や出荷時の梱包材による環境負荷などが含まれています。新しい1Uサーバーの製造は1260kg-CO2eの温室効果ガスを排出すると算定されるため、リユースサーバーを購入した場合には新品購入時に比べて排出量99.8%を削減することができます。

 

リユースサーバーを購入した場合には新品購入時に比べて排出量99.8%を削減することができます

IT機器を選ぶ際の基準に、技術的な性能と並んで環境負荷が重要な要素として加わる時代がやってきたのではないでしょうか。グリーンITをぜひお客さまのIT運用の選択肢に加えてください。私たちが全力でサポートいたします。

 

参考文献

*原田禎夫「サーキュラーエコノミーを考える(1)環境問題招く「外部性」」『日本経済新聞』、 2019年11月6日、電子版 (https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51805750V01C19A1SHE000/
参照2021年4月12日)

*TCO Certified. (2020). Impacts and Insights: Circular IT Management in Practice (https://tcocertified.com/impacts-and-insights/).

*Manhart, Andreas & Blepp, Markus & Fischer, Corinna & Graulich, Kathrin & Prakash, Siddharth & Priess, Rasmus & Schleicher, Tobias & Tür, Maria. (2016). Resource Efficiency in the ICT Sector.

*R. Bashroush, N. Rteil, R. Kenny and A. Wynne. (2020). “Optimizing server refresh cycles: The case for circular economy with an aging Moore’s Law,” in IEEE Transactions on Sustainable Computing, doi: 10.1109/TSUSC.2020.3035234.

*グリーンIT:中古IT機器の販売、保守、買取など環境負荷の少ないIT運用を可能にするゲットイットのサービスの総称。

*kg-CO2e : 温室効果ガスを全て二酸化炭素に換算した場合の重さ。

グリーンIT編集部
グリーンIT編集部
リユースIT業界の最新情報を発信する「グリーンITブログ」を掲載。
世界のことから社内のことまで、リユースIT製品(グリーンIT製品)を使う選択がもっと当たり前な社会にするため、情報を発信しています。