2020年10月06日
【地方自治体インタビュー】一番の重きはセキュリティ。船橋市役所が実践する主体的なIT機器管理とは


 

一番の重きはセキュリティ。データ消去は自分たちの手で。
安全とIT資産の有効活用のために、主体的に取り組み続ける船橋市役所

何年も前から先進的な取り組みを続けている船橋市役所。売却を行う理由や機器の管理における基本的な考え方、実際の取り組みについて、情報システム課のご担当である大塚さまにお話を伺ってきました。

団体名:船橋市役所さま
サーバ買取台数:数十台
ノートPC等買取台数:800台超

インタビュイー
船橋市役所 情報システム課

大塚 信一さま

インタビュアー
株式会社ゲットイット 広報

川澄 領

担当営業
株式会社ゲットイット
ITADマネージャー
中村 浩英

以前から船橋市では使用済み機器の売却を行っているそうですが、いつ頃から行われていたのですか?

私が把握している限りでは、平成24年度にはすでに売却をしていたので、それ以前からやっているのではないかと思います。

すごいですね、一般企業よりよほど進んでる。

他の自治体では概ね廃棄、もしくは、リース会社さんに返却してあとはお任せという感じが多いみたいですね。

他市の状況について照会をしたことがなく、把握できていなかったですが、当市が稀に見るパターンなのでしょうか。

廃棄ではなく売却を選ばれる理由は何ですか?

セキュリティの観点から、データの消去は事業者に委託するのではなく、出来る限り自分たちで行い、情報漏洩を防止することを第一に考えていますが、情報漏洩リスクがなくなったリースアップした機器を売却することにより処分費用の圧縮を図っています。
また、「循環型社会形成推進基本法」第七条に「再使用することができるものについては再使用されなければならない」という旨の定めがあり、それに則りたいということもあります。
そのため、リースアップした機器は、市に所有権が帰属するリース契約を結ばせてもらっています。情報システム課所管機器に関してはその形をとっているので、リースアップ後 HDD を破壊して売却という形になっています。

機器処分に関する行政通達に対して「リースだから(所有権がないので)HDDは壊せない」という自治体や、リース会社も「行政の一存でHDDは勝手に壊していいものではないので」という事例が多くあったことを踏まえると、全部所有されているというのはセキュリティ上とても素晴らしいことだと思います。ところで、売却や廃棄に関する予算編成はどのようにされているのでしょうか?

廃棄処分費用の予算計上は基本していません。売却で収入を得ているという認識なので、出費は見込んでないというのが基本です。ただ、売却不可のものに関しては、ある程度の台数が溜まったら、予算をとって廃棄することになると思います。

普通は、まだ価値あるものであってもお金をかけて廃棄処分するという、逆の前例が積み重なっていることが多いんですけど。好循環で良いですね。

サーバやPCを処分する年数というのは、どのくらいのスパンになるのでしょうか?

数多のシステムがあり、導入時期が異なるのでまとめて一気に売却はできませんが、情報機器を6年(リース5年と1年延長保守)使用後、ある程度まとまった台数を売却するのに平均して年に2回くらいとなっています。

リースアップから約1年間の使用というのは、何か理由があるのでしょうか?

当市では、セキュリティの観点から「保守がついてないものは使わない」と取り決めています。この前提を守りつつ、コスト削減の観点から機器はなるべく長く使用し、コスパをより良くしたいと考えております。リースは5年が一般的で5年間の機器保守もリースに含めて調達しておりますが、多くの機器が6年保守が可能であり、1年長く使用できるのでコストの削減が図れます。コストも重要ですが、セキュリティを一番に守りたいですね。

やっぱり、セキュリティですよね。

一番の重きはそこですね。

データ消去についても破壊機を導入して、自分たちで責任を持って行っていらっしゃるそうですね。

以前から破壊用の機械はありましたが、平成27年度に消磁と物理破壊の両方を同時にできる機械に入れ替えました。その当時で『一番セキュリティが高く守れるもの』、『処理速度』、『操作性』などを基準に採用しています。
正直、物理破壊だけでもいいとは思ってはいるんですけれども、そこに磁気も加われば、『見えるところで壊して、見えないところでも壊す』という二重のセキュリティリスク軽減につながるのかなと考えています。

素晴らしいと思います。本当にセキュリティはすごく高いと思います。両方やっているところはなかなかないですね。

自治体の情報セキュリティ対策見直しのための検討会で、もしも消磁と物理は両方やるという新たなガイドラインが策定されたら、船橋市はモデルケースになりそうですね。

昨年の他県での事件後に、他市から「どういった形でやっていますか?」と照会がきたときに、「自分たちで破壊しています」「リースアップ後は市の所有権です」という話をしたところ、だいたいの方は驚かれていました。

一番理想的ですもんね、組織内でやってしまうのが。輸送のときに何があるか分かりませんし。

組織内で、しかも物理と消磁と2つやっていますからね。本当に理想的だと思います。

今回、売却の件に関してゲットイットを選んでいただいた理由は何でしょうか?

基本的に全メーカーを網羅しているところ、かつ、一番魅力的だったのが、パーツごとで見積もりもいただけるというところです。同じサーバやPCでも、カスタマイズを加えていてちょっとパーツが違うというところまで見ていただけました。実際、見積もりをお願いした際も、レスポンスがすごい速くサクサク進んだ点も良かったです。場所を空けるためにもなるべく早く売却を進めたかったので、見積もりをもらってすぐに動きたいというのが正直な気持ちでしたから、そこに対応してもらえたのが一番ありがたいですね。
あとは、実績のあるところというのが、やっぱりポイントかなとは思っております。

ありがとうございます。実績が大事というのは他でもよく聞きます。安心ですもんね、やっぱり。

場所に限りがあるから早くしたいというのはありますよね。これもよく聞く気がします。

これから壊すHDDはまだPCに入ったままなので、人の出入りを制限しつつ施錠できる部屋で保管する必要があるので、どうしても場所の制限がかかってしまいます。

スペースの問題以外にも、売却する前に感じていた課題は何かありますか?

なるべくメーカー・機種ごとでまとめて売却したいなと思うんですけど、各課で管理しているものなので、回収するタイミングがバラバラなんですよね。それで売却のタイミングが難しいです。
また、外部委託せず、情報システム課内でデータ消去までしているので、どうしてもそこに時間がかかってしまって、なかなか数を揃えるのが難しいです。
同じメーカーがある程度まとまっていた方が、見積もり金額が高くなるのでしょうか?

いや、変わらないですね。確かに、ある程度の物量があった方が金額は出るんですけれども、その一方で年数が経つと価値が下がっていくので、元の価格が高いサーバなどは、そんなに台数がなくても使用しなくなったなら早めの方が良いかもしれません。5年と7年とではだいぶ違ってくる可能性がありますので。遠慮なく「今だったらどう?」とか聞いていただければ、「今だったらこれくらいですよ」って目安になる数字をお伝えすることもできるので。

実際に弊社をお使いいただいていかがでしたか?

すごく助かりました。破壊したハードディスクも金属として買取っていただいて、見積もり段階でもスピード感がすごくありがたいと思いましたし、引取りの際も迅速に行っていただけたので、すごく満足しております。当初の予定では、10時から始めてお昼過ぎに完了かなという話だったんですけど、お昼ちょっと前に終わっていました。

今後取り組んでいきたいと考えていることは何かありますか?

SSD搭載機器の処分方法について考えないといけないなと思っています。今、庁内にあるSSD搭載機器がリースアップするのが5~6年後になるので、その段階に合わせて破壊方法やその機器の導入を検討しなければいけません。現行の破壊機器では、消磁も含めて、SSDには対応していないので、そこをどうしようかなというのが課題にはなっていますね。SSDを破壊できる機械も販売されてはいるようなので、あとは導入のタイミングをどうするかですかね。

本日はお忙しいところありがとうございました。